新阪急ホテルと「肥満症診療の醍醐味」
2014年9月20日、大阪市北区にある新阪急ホテルで、「第36回関西総合健診医学懇話会」が開催され、100名が参加した。新阪急ホテルは、東京オリンピックや新幹線ができた1964年に開業、今年で50周年になる。
午後2時、2階"桂の間"で世話人会があった。小保方晴子さんの「スタップ細胞はありま~す!」の会見は、隣の"花の間"であったという。"花の間"は、37年前1977年1月16日に結婚披露宴をしたところだ。
午後3時、"星月の間"で、開会の挨拶をした。"星月の間"は、結婚式を挙げたところだ。
一般演題で、みどり健康管理センターの長崎幸美らによる「当センター40年間における肥満者の経時的変化と合併症の関連について」があった。
長崎氏は、「1973年4月から2013年3月まで、健診受診者延べ73万人(男性40万人、女性23万人)を検討した。男性の肥満(BMI25以上)
表示は40年間で徐々に増加し1.6倍になったが、女性では減少傾向にあった。
1987年と2013年のBMI別肥満合併症をみると、BMIが高いほど高血圧・高血糖・高中性脂肪血症・高尿酸血症の割合は多くなっていた。1987年に比べ2013年では同じBMIでも高血圧(140/90mmHg)割合
表示が著しく減少していたが、降圧剤投与者を加えると2013年の高血圧の割合
表示は高くなっていた」と発表された。
BMI別肥満合併症の割合は、Newtonムック「肥満のサイエンス」
表示(2014年9月10日発行)の12ページに載っている1987年のBMI別有病率の割合(徳永他:Int J Obs 1991)と、ほぼ同じだ。
午後4時5分から、島原病院の吉田俊秀
表示肥満・糖尿病センター長による特別講演「肥満および糖尿病患者に対する食事指導の醍醐味」があり、座長をした。
吉田センター長は、「過食になるのは理由がある。食べてストレスを解消しようとすることが多い。食事療法をする前には、まず過食の原因となるストレスを聴きだし、その解決法を探りながら、食事指導をするとよい。砂糖・油を減らし、毎食前に生野菜(キャベツ)を10分噛み、毎食後30分から30分間歩行するとよい」と講演された。
午後5時20分から、"紫の間"で懇親会があった。「男性肥満は増加しつづけているのに、高血圧が激減したのは何故か?」が話題になった。27年前に比べ、同じBMIでも受診時の高血圧は半減している。高血圧が減少したのは、降圧剤投与による要因が大きいと考えられた。
降圧剤の市場は1兆円近くになり、国民医療費を圧迫している。降圧剤を使わなくても、食事と運動で肥満・高血圧を減らせば、医療費を大幅に削減することができる。
肥満は糖尿病・高血圧・脂質異常症・高尿酸血症など生活習慣病の基盤となっている。高価な薬剤は使用せず、食事指導など生活習慣指導で肥満合併症を防ぐところに、「肥満症診療の醍醐味」がある。