宮崎シーガイアの食と「エピゲノム制御による肥満症治療」
2014年10月24~25日、宮崎市にあるフェニックスシーガイアリゾート・コンベンションセンターで「第35回日本肥満学会」が開催された。
10月23日、シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート2309号室に宿泊した。ホテルは全室オーシャンビューで、目の前の松林の中にはゴルフ場、その向こうに太平洋が一望できる。
午後6時30分、評議員会があり、第38回日本肥満学会長に大阪大学内分泌内科の下村伊一郎教授
表示が選ばれた。
ホテル1階にある「かりの菜」で、地元の芋焼酎「赤霧島」を飲みながら"尾鈴御膳"を食べた。小鉢は南瓜播り流し、造里はカンパチなど3種で、醤油はカラメルを添加した甘口醤油と辛口醤油があった。酢の物は鰹たたき日向夏ドレッシング、煮物は真鯛出汁しゃぶ、焼き物は豚蒸し焼きキノコポン酢餡かけ、揚げ物は長芋揚げ出しで、十六穀御飯だった。野菜ビュッフェがあり、ひと手間かけた野菜やトマトで味付けした椎茸などを好きなだけ食べることができる。
すぐ前の席では、外国人を含む屈強な男性15~6人が、JAPANとナンバーの入ったユニフォームを着て、仲良く食事をしていた。ラグビー日本代表で、10月21日から30日まで宮崎合宿のため宿泊しているという。
10月24日、ホテル1階のパインテラスで朝食バイキングを食べた。冷や汁や、甘酢のチキン南蛮など、宮崎郷土料理があった。マンゴージュースは濃く甘い。
午前9時、シンポジウム1「肥満症診療の現状と未来」があった。新山手病院の宮崎滋生活習慣病センター長
表示は、「作成中の『肥満症診療ガイドライン2015』の診断基準は"肥満症診断基準2011"と、食事療法は"肥満症治療ガイドライン2006"と基本的にはほぼ同じで、新たに新規肥満症治療薬や腹腔鏡下スリーブ状胃切除術などが加えられる」と述べられた。
琉球大学第二内科の益崎裕章教授は「エピゲノム制御を肥満症治療に活かすアプローチ」のタイトルで、「脱メチル化エピゲノム薬のアサシチジンを高脂肪食肥満マウスに投与すると、過食や糖代謝異常が部分的に改善する結果が得られた。玄米食でも同様に肥満を抑制し、玄米の成分であるγ-オリザノールが肥満を抑制していると考えられた」と講演された。
アサシチジンは、癌抑制遺伝子に生じたDNAメチル化を解除することで白血病への進行を阻止する我が国最初の薬だ。エピゲノム(エピジェネティクス)とは、DNA配列によらない後天的な遺伝子制御機構のことで、メチル化による遺伝子発現の抑制や、ヒストン(DNAを束ねる蛋白質)のアセチル化による遺伝子発現の促進などが知られている。
宮崎県の男性肥満は44.7%と、沖縄県に次いで2番目に多い。子供の頃から慣れ親しんだ甘い味が、肥満の一因かもしれない。生活習慣は遺伝子発現を変える。エピゲノム制御による肥満症治療が注目されている。