宮崎ナイトと霜降り肉・高脂肪食依存症
2014年10月24~25日、宮崎シーガイアで「第35回日本肥満学会(中里雅光会長)」が開催された。
10月24日午後7時20分、懇親会「Miyazaki Night」があった。余興は天照大神が天岩戸に隠れた際に、天細女命(あめのうずめ)が面白おかしく踊る「高千穂神楽」だった。地鶏炭火焼きなど郷土料理があり、宮崎牛のステーキコーナーは50人の長蛇の列になっていた。宮崎牛は霜降りで、柔らかく美味しかった。
高脂肪食依存症は、日本でも多くなっている。「高脂肪食の長期摂取は、脳のドーパミン系(喜びを与える報酬系)に作用する。高脂肪食への依存性は、コカイン・ニコチン・アルコールへの依存性より大きい」という話は、今肥満学会のシンポジウムやランチョンセミナーで何度も出てきた。
神戸牛などブランド牛の霜降り肉は、交配を重ね、遺伝的に肉にサシ(脂)が入ったものだ。普通の牛でも、高脂肪・高カロリー・ビタミンA欠乏食を与えると、霜降り肉になるという。ビタミンAは、筋肉内への脂肪の侵入を防ぐ作用がある。
ビタミンAが欠乏すると、夜盲症になる。ビタミンA欠乏症により、夜盲症になった18歳の男性を経験したことがある(第10回日本肥満学会記録1989、p127
表示)。キャベツだけを3か月間食べつづけ、140kgから110kgまで減量したが、ビタミンA、B、Cが低値を示し、皮膚も湿疹が多かった
表示。
10月25日午後2時20分からのシンポジウム8「肥満症における食事療法」で、「肥満症の食事療法で、まず最低何をどれだけ食べればよいか。青汁1杯だけで13年間元気に生きている46歳の女性がいる。その間、体重は44kgから60kgに増加し、血清ヘモグロビン・総蛋白は減少せず、肝機能異常も起こさなかった。キーは腸内細菌にある」という講演があった。
これが本当なら、現代栄養学は根底から覆され、世界の食糧危機が解消される。京都の大学教授は「青汁1杯だけで13年間も生きるなど、あり得ない。腸内細菌に鍵があるといっても、腸内細菌がどうやってエネルギーを生み出すのか」と言われる。阪大の後輩医師は「青汁1杯だけで、蛋白質はどうやって作るのか。必須アミノ酸や必須脂肪酸は、どうやって摂取するのか。脂溶性ビタミンは、不足するのではないか。考えられない」と言う。
青汁に詳しい友人に聞くと「それはMさんのことだろう。Mさんは青汁1杯で13年間生きたと講演をされている。慈恵医科大学が、Mさんを何日間か監視したが、論文は書かなかった。イギリスから研究者が来て、同様のことをしたが、やはり論文は書かなかった。エビデンスはない」と答えてくれた。
高脂肪食の長期摂取は、脳の報酬系に作用し、喜びを与える。高脂肪食への依存は薬物依存に似ている(Newton別冊2014、p86
表示)。高脂肪食依存症にならないよう、高脂肪の食事をつづけないことが大切だ。