身心一如と「医の心」
2015年1月24日、リーガロイヤルホテル大阪で、吹田市医師会(四宮眞男会長)の「創立75周年記念文化講演会」があり、300名が出席した。
午後5時、真宗大谷派僧侶の川村妙慶氏による「宗教からみた医の心」の講演があった。川村氏は京都市上京区にある正念寺で僧侶をしながら、ラジオ番組のパーソナリティをされ、多い日は200通の悩みの相談を受けているという。
川村氏は「身心一如、身と心は一つにつながっている。体は健康でも心がどんよりとすると、人生は楽しくなくなる。昔、病院と寺院の2つは連携し、病院には仏教書が置かれ、寺院は医学書をみながら説教をしていた。
教育は樹に例えられる。根っこは幼児教育で、嬉しい・やったといった情を育てる。幹は義務教育で、意志を育てる。枝葉は専門教育で、知識を育てる。今の教育は、枝葉の知の教育に力が入っているが、根っ子の部分の情の教育がおろそかになっている。知だけではダメで、情が必要だ。
仁は、相手を観て、相手の憂いを自分の憂いと感じる。看護の看の字には、手が入っている。どこまでも患者に寄り添い、情を持ってあなたのことを気にしていることを示すとよい。
同僚が悪い、親が悪い、環境が悪い、時代が悪い、といつも何かのせいにしたり、私は正しいと都合のよい解釈をし、嘘をつき、言い訳をしたりする人がいる。外の状況を幅広い目で客観的に見ると同時に、私も見るという広い視野・観察心を持つとよい」と話された。
午後6時から、懇親会があった。テーブルの右隣は大阪市大第2内科出身の糖尿病が専門の人で、西沢良記大阪市大学長をよく知っておられた。西沢学長は、私と同じブレイ門下生で、米国ロサンゼルスでは肥満の研究をされていた。その隣は京都府立医大にいた人で、木下茂京都府立医大副学長をよく知っておられた。木下副学長は、私と同じ阪大医学部で同級生だった。縁とは不思議なものだ。人と人とは、どこかでつながっている。
前菜の"薄切りサーモンの昆布しめとズワイガニと黒豆の和風ジュレ彩り野菜の柚子風味"が、凝っていて美味しい。メインの一つ"フォワグラのポアレと湯豆腐薬味添えポン酢風味びっくり風"は和洋折衷だった。"昔風・チキンライス小さなキャセロール入り"は懐かしい味がした。
肥満者に栄養指導をしても、「仕事上夜の接待が多く、なかなか減量できない」などと、何かのせいにしたり言い訳をしたりする人がいる。食べ過ぎた翌日は、その分食べる量を減らせばよい。
催し物として、和楽器演奏集団「独楽(こま)
表示」による和太鼓・篠笛・津軽三味線・琴による演奏があった。熱気があり、テーブルまで共鳴による振動が伝わってきた。
「身心一如」、体と心は一つにつながっている。体は健康でも心に元気がないと、本当の健康とはいえない。医療者は知と情を持ち、患者の体だけでなく心にも気を配るという「医の心」で診療にあたるとよい。