内臓脂肪と「世界で影響力を持つ科学者」
2015年2月8日、大阪市北区中之島にある大阪国際会議場で、「第15回動脈硬化教育フォーラム(山下静也会長)」が開催された。
山下静也大阪大学教授(写真右
表示)は、阪大2内循環器脂質研の5年後輩で、日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」の作成委員長をしている。
午前9時30分、松澤佑次住友病院長による基調講演「アディポサイエンスの潮流ー内臓脂肪からアディポネクチンへ」があった。
松澤病院長は、「アディポ(脂肪組織)とつく言葉は、ほとんど日本でできた言葉だ。アディポサイエンスは、内臓脂肪の研究から始まった。何故、内臓脂肪が蓄積すると糖尿病など代謝異常を引き起こしやすいのか。内臓脂肪組織を研究する過程で、アディポネクチン(善玉ホルモン)が発見された」と話された。
講演では、内臓脂肪研究の発端となった論文Int J Obes 1983
表示の4枚の腹部CTスキャン像
表示を示された。
ロイターの「世界で影響力を持つ科学者2014年」の臨床医学部門に、大阪大学からは松澤佑次氏、審良(あきら)静男氏、船橋徹氏、木原進士氏の4名が選ばれている。
松澤佑次大阪大学名誉教授(写真左
表示)は、阪大2内循環器脂質研の8年先輩で、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)を提唱、アディポネクチンを発見されている。
審良静男大阪大学微生物病研究所教授は、阪大医学部の3年後輩で、自然免疫研究で先駆的な研究をされている。
船橋徹大阪大学教授(写真左
表示)は、阪大2内循環器脂質研の5年後輩で、アディポネクチンの命名をしている。写真は、私が代表世話人をしていた「マルチプル・リスクファクター研究会」で講演をしてもらった時のものだ。
木原進士大阪大学教授(写真左
表示)は、阪大2内循環器脂質研の11年後輩で、メタボとアディポネクチンの関連を明らかにしている。米国テキサス州ヒューストン留学中の木原君の家に、2泊させてもらったことがある。
1991年10月11日、国際動脈硬化学会のあった米国シカゴのオヘア空港から、UA693便で午後9時26分ヒューストンのインターコンチネンタル空港に着くと、木原君が出迎えに来てくれていた。新築のきれいな家で、南国らしく天井には大型扇風機がまわっていた。夜1時まで大学の話などした。
10月12日、朝は久しぶりにご飯と鮭、海苔、味噌汁の和食を食べた。ティファニーでヒトデの形をしたネックレスをみやげに買った後、テキサス・ルネッサンスフェスティバルに行き、七面鳥のもも肉
表示を手に持って食べた。夜は海老料理と豆腐料理だった。
10月13日、ベイラーカレッジの研究室を案内してもらい、NASA(アメリカ航空宇宙局)を見学した。昼は素麺と稲荷ずしで、午後5時15分発CO2774便でルイジアナ州バトンルージュに向かった。
内臓脂肪からアディポネクチンへ。"臨床から始まって病態を解明していく"という大阪大学第2内科の伝統が、アディポサイエンスの潮流にのって、「世界に影響力を持つ科学者」を多数生み出している。