富山県の食と「健康寿命日本一」への取り組み
2015年2月20~21日、富山市大手町にある富山国際会議場で「第43回日本総合健診医学会」が開催された。
2月19日、午後4時42分大阪発のサンダーバード31号8号車10A席で富山に向かった。湖西線が強風のため米原経由となり、1時間5分遅れの8時59分に富山駅に着いた。富山に来るのは6度目だ。富山駅構内は、3月15日開業の北陸新幹線のため、大工事をしていた。ANAクラウンプラザホテル1317号室に宿泊した。
2月20日、ホテルの朝食バイキングは、ホタルイカの沖漬け、イカの黒作りなど富山県産のものが数多くあった。
午前10時、一般口演「内分泌・代謝・肥満」のセッションの座長をした。
午後5時30分、懇親会があった。103歳になられる日野原重明理事長は「1か月前から熱が出て、聖路加病院に入院していた。自宅に帰ってからも熱が出ていたが、昨日熱が下がったので飛行機で富山に来た」と挨拶され、大きな拍手が起こった。
石井隆一富山県知事が「富山県は持ち家率日本一、非正規雇用も2番目に少ない。富山湾は立山の水が入る天然の生簀で魚も美味しく、富山県産コシヒカリも最上級の特Aになっているが、健康寿命は20位だ。どうすれば、健康寿命を延ばすことができるか教えてほしい」と挨拶された。
寒鰤のタタキ、白海老の唐揚げ、氷見牛のステーキが美味しい。阪大2内の先輩医師は「昨日、郷土料理を食べたが塩分が多かった。ご飯がないと食べられない料理が多い。おかずの塩分を減らせばいい」、若手は「ラーメンを食べたが醤油がいっぱい入っていて、塩辛かった。冬は寒くて運動不足になるのではないか」と言う。
2月21日午後1時30分、地上70mの富山市役所展望塔に行くと、観光客で賑わっていた。真っ白に雪化粧をした立山、その左に剣岳
表示がそびえる。立山連峰は、2月が一番きれいだという。
神通川の川沿い岩瀬地区にある北前船廻船問屋「森家」に行った。北前船は、富山のコメを北海道へ、北海道の昆布を富山・大坂・薩摩藩へ運び、巨万の富を得ている。森家の土間は小豆島の長さ10mの巨大な一枚岩、トイレの戸は屋久杉でできていた。地元の人に聞くと「ラーメンが濃いのは、荷物を運ぶ人たちが、塩分を好んだ名残りだろう」という。
富山県では「健康寿命日本一」を目指し、県民の生活習慣改善に取り組んでいる。スーパーやコンビニに減塩コーナーを設置、カップ麺売り場横にサラダを並べる。食品加工業者と連携して減塩醤油や減塩味噌の販売を促進し、減塩かまぼこや減塩昆布商品などの開発を支援する。
サジベジ(サラリーマンにベジタブル)と銘打ち、社員食堂にサラダバーを設ける。冬はショッピングセンターや商店街でウォーキングイベントを開く。学校給食をモデルにしたパンフレットを全学童に配布する、など進めている。
富山県は自然・住宅・雇用や水・米・海の幸に恵まれているが、脳血管障害死亡率は高く、健康寿命は平均的だ。富山県は減塩促進、運動増加、野菜摂取で「健康寿命日本一」に取り組んでいる。