下関の食と「糖尿病食事療法のサイエンス」
2015年5月21~24日、山口県下関市で「第58回日本糖尿病学会(谷澤幸生会長)」が開催され、1万3000人が参加した。
5月20日、新幹線で北九州市小倉駅まで行き、在来線で下関駅に向かった。山口県に来るのは10度目だ。最初は小学校の時で、高杉晋作ファンだった私を、父母が萩の松下村塾に連れて行ってくれた。29年前は、防府市で日本糖尿病学会があった。光市で肥満の講演をしたこともある。
午後4時、「海峡メッセ下関」で評議員会があり、第61回大会の会長は慈恵医大の宇都宮一典教授に決まった。
午後7時30分、日本で2番目に大きい豪華客船「ぱしふぃっくびいなす
表示」で懇親会があった。安倍昭恵総理夫人
表示は「糖尿病は40歳代、50歳代で発見されることが多い。食事療法が大切で、奥さんの力が大きい。糖尿病においても、女性医師・栄養士・看護師など女性の活躍を期待している」と挨拶された。
獺祭の樽酒の鏡割りがあり、獺祭で乾杯した。生うに、ハマチ、鯛の刺身が新鮮で美味しい。下関は、海の幸が豊富だ。糖尿病を専門とする医師は、女性が30%を占める。30歳以下に限定すると、女性医師が50%を超えている。友人は「うちの大学の入局者は今年、女性が70%になっている」と言う。これから、益々、女性の活用が叫ばれそうだ。
5月21日午前8時30分、下関民会館でシンポジウム3「食事療法のサイエンスー最新のエビデンスをふまえて」があった。
聖路加国際病院内分泌代謝科の能登洋氏は、「低炭水化物食(糖質制限食)は1~2年の短期的には脂肪制限食などより減量効果が大きいとの報告もあるが、長期的にはどの療法も、体重はほぼ一定になる。総カロリーを一定にした各食事療法の無作為化比較試験(RCT)では、減量効果は3大栄養素のバランスに関係なかった。栄養素のバランスより総カロリー適正化の方が優先度が高い。
糖尿病患者の長期的メタアナリーシスでは、低炭水化物食の生命予後が悪くなっている。それは、動物性脂肪が増えたことによるかもしれない。低炭水化物食は1~2年はしてもよいが、長期的には慎重に行う必要がある」と講演された。
慶応大学スポーツ医学研究センターの勝川史憲教授は「総エネルギー摂取量は、消費エネルギーによって決まる。減量の途中から体重が減らなくなるのは、基礎代謝が落ちてくるためだ」と講演された。
昼過ぎ、「海峡ゆめタワー」に上った。巌流島、壇ノ浦など153mから眺める関門海峡の景色
表示が素晴らしい。久坂玄瑞の光明寺、騎兵隊を創設した高杉晋作終焉の地、攘夷が始まった亀山砲台、・・はどのあたりだろうか?
夕食は、春帆楼下関大丸店で、とらふく冷ひれ酒を飲みながら、「茶寮ふく御膳
表示(ふく刺、ふくと野菜の天ぷら、ふく汁、ふく飯)」を食べた。
下関は魚のうまい、歴史ある美しい街だった。長期の糖尿病食事療法は和食を取り入れ、炭水化物・蛋白質・脂質をバランスよく摂取。総カロリーは適正に設定し、個々の体重変化に応じて変えるとよい。