「ゲノム創薬の現状と展望」と老後生活
2015年6月11日、大阪市中央区淀屋橋にある大阪倶楽部で異業種の会があった。この会も、入会して7年になる。
午後6時から、摂南大学薬学部元教授の伊藤文昭氏による講演「ゲノム創薬の現状と展望」があった。
伊藤氏は、「2004年全ヒトゲノム(遺伝子)が解析された。ゲノム創薬は、病気になる原因となる遺伝子が作る蛋白を見つけ、その抗体から薬を作る。
世界で最も売上が多いのはヒュミラ(TNF-α抗体薬)で、1兆数千億円になっている。医薬品売り上げの上位10品目のうち、6つはゲノム創薬のバイオ医薬品だ。日本は全ヒトゲノム解析後、ゲノム研究費が削減され、ゲノム創薬の開発に乗り遅れた。
一つの新薬を出すのに484億円が必要になる。バイオ医薬品は、分子標的がわかれば創りやすい。世界の製薬会社は、バイオ医薬品を開発している。バイオ医薬品は、効果を確かめるのが難しいので、ジェネリックができにくい。
癌の治療薬も、ゲノム創薬の進歩で、たくさんできてきている。癌はゲノム塩基配列中に一塩基が変異した一塩基多型(SNP)によって起こることが多い。癌のSNPがわかれば、その癌の分子標的に応じたテーラーメードの医薬品ができる。肺癌や肝癌に効果のある分子標的医療薬も、それぞれの癌によって異なり、ゲノムを調べて治療薬を決めると効果がある」と話された。
世界の医薬品売上高ランキング(2012年)は、1位ヒュミラ(関節リウマチ)、2位レミケード(関節リウマチ/クローン病)、3位エンブレル(関節リウマチ)、4位アドエア/セレタイド(抗喘息薬)、5位クレストール(抗高脂血症薬:日本)、6位リツキサン(非ホジキンリンパ腫)、7位ランタス(糖尿病薬)、8位ハーセプチン(乳癌)、9位アバスチン(転移性結腸癌)、10位ジャヌピア(糖尿病薬)、11位ディオパン(降圧剤)、・・となっている。
午後7時10分から懇親会があり、フランス料理フルコースを食べながら、近くに座っている人たちと2時間話をした。リタイアしても、元気な人が多い。70歳代のA氏は「ダイビングをしている。35メートル潜った」と言われた。
B氏は「マチュピチュ、南極に行ってきた。今度は、100日間世界一周の船旅をする。現役時代は忙しく、妻とどこにも行けなかったので、奥さん孝行をしている」と話された。
するとC氏は「奥さんは迷惑がっているかもしれませんよ。私が家にいるようになって、かかってくる電話をとると、みな妻へのものだった。家に私がいることに遠慮して、電話がかかって来なくなった。妻のこれまでの人間関係を崩さないよう、私は会員制クラブに入り、月曜から金曜まで、朝から囲碁・麻雀・カラオケ・ビリヤードをしたり、ゴルフに行ったりしている」とアドバイスされた。
ゲノム創薬の進歩で、一部の癌も治るようになり、寿命が延びてきている。女性は友人関係を築いている。男性は仕事を離れても楽しい老後生活ができるよう、趣味を持ち、仕事以外の友人を作っておくとよい。