ドイツの再生可能エネルギーと日本のあり方
2015年7月16日、大阪市北区にあるウエスティンホテル大阪で、異業種の会があった。出席が予定されていた知事は、台風11号の接近で対策本部長となられたため、急遽欠席された。
午後6時、奈良日独協会員の藤澤一夫氏による講演「エネルギーシフトを進めるドイツ」があった。
藤澤氏は「東日本大震災の3か月後、ドイツのメルケル首相は『エネルギー政策を"脱原発"に大きく変換し、2022年に原子力発電をゼロにする』と明言した。2014年のドイツの総電力需要量に対する再生可能エネルギーの割合は27.8%(風力発電9.7%、バイオマス発電8.5%、太陽光発電6.0%、水力発電3.5%)で、2050年の目標を80%にしている。
ドイツはフランスから原発電力を輸入して電力を補っているという誤った報道がなされているが、ドイツは電力輸出大国だ。フランスから輸入した電力は、そのままスイスとオーストリアに輸出されている。ドイツの2014年電力輸出量は75TWh、輸入量は40TWhで、ベルギー・オランダ・ポーランド・デンマークや海底を通してスウェーデンにも輸出している」と講演された。
会場から、いくつか質問があった。「日本の再生可能エネルギーは、10%にみたない。何故、ドイツのように増やせないのか?」との質問に、「日本では発送電分離がされていない。日本の10大電力会社も、徐々に発送電分離に向かわざるを得なくなるだろう」と答えられた。
次いで「ドイツのソーラーパネルは全て中国製になっていると聞いたが、日本でもそうはならないか?」との質問には、「太陽光電力・買い取り価格が10年で4分の1に下がり、安い中国製でないと採算が取れなくなった。しかし、風力発電装置はドイツ製で、日本のベアリングが70%使用されている。日本の部品は優れており、世界で多く使われている」と答えられた。
また「原発をすべて廃止すると、原子力の研究者がいなくなるのではないか?」との質問には、「ドイツの原子力研究者は増えている。廃炉技術は、世界のトップクラスだ。原子力潜水艦や原発の廃炉など、世界の需要は益々増えている。原子力の医療への応用はダントツに進んでいる」と答えられた。
午後7時から懇親会があり、1テーブル8人ずつ、フランス料理を食べながら1時間話をした。
A氏は「広島に原爆が落ちた時、70年は草木も生えないと言われていたが、すぐに人々が暮らし始めた。山林汚染を完全に除去することは不可能に近い。基準が厳しすぎるのではないか。福島の人を、早く地元に帰してあげればいい」と言われた。
するとB氏も「私もそう思う。昭和20年8月6日広島市郊外にいて、きのこ雲を見た。あの時一緒だった人は、80歳90歳になっても元気で長生きしている」と言われ、福島の人たちを気遣う声が相次いだ。
原子力は使い方によって、医療などよい面もある。原子力は怖がりすぎてもよくない。日本もこれから、ドイツのように原発を徐々になくす方向で、再生可能エネルギーを増やすとよいだろう。