太極拳暑気払いとエゴマ・認知症

2015年7月28日

   2015717日、大阪府高槻市で太極拳をした。

午後630分、伸びきる気功法・八段錦・太極拳を行なった。午後8時から、太極拳仲間10人で暑気払いをした。商社OBはエゴマ・トマト・ズキニなど20種類の野菜を、1年中栽培しているという。家庭菜園をし、エゴマ(荏胡麻)を栽培している人が多い。重見冨陽子師範は「健康のため、エゴマ油(しそ油)を使っている」と言われた。

45年前、広島県庄原市に帰省した時、朝市で黒い小さな粒のエゴマを売っていた。お土産に買って帰り、太極拳の時に「エゴマとゴマは全く違う。エゴマは頭をよくする。鎌倉時代の高僧はエゴマを食べていた。同じ植物油でも、パーム油はよくない」と、昭和50年代に脂質研究室で教わったことを話したからだろうか。

エゴマはシソ科で、α-リノレン酸(n-3系多価不飽和脂肪酸)を多く含む。α-リノレン酸は体内で心血管系に効果のあるEPAや脳機能を維持するDHAに変換され、認知症を予防するとされている。

同じ多価不飽和脂肪酸でもn-6系脂肪酸(リノール酸など)は酸化しやすく、過剰に摂取するとアレルギー体質になりやすい。トランス脂肪酸(飽和脂肪酸以上にLDLコレステロールを増やす)が多いマーガリンは、バターなどに比べ安価で、揚げ物やスナック菓子などに使われている。

 

725日、ホテルグランヴィア大阪で、「第11回高尿酸血症・メタボリックシンドロームリサーチフォーラム」が開催された。

午後440分、新潟大学血液内分泌代謝内科の曽根博仁教授による特別講演「大規模臨床データ解析からみたメタボリックリスク」があった。

曽根教授は「JDCS2型糖尿病2033名の調査で、BMI25以上の肥満者で、かつ、摂食量35kcal/標準体重以上の人は5%しかいなかった。食事指導時には、『太りやすい体質なので、今食べている量より減らした方がよい』と言うとよい。

糖尿病の薬は2種類から7種類に増えたが、糖尿病による失明は2位、透析導入は1位となっており、薬だけでは難しい。食物繊維の摂取が少ない人は、糖尿病合併症を起こしやすい。運動量の多い人は、心血管障害の発症を減少させる」など、日常診療に役立つよう具体的に講演された。

フロアから私は「150002013年の検討で、BMI別に高血圧・高LDLC・高血糖の割合を見ると、投薬で高血圧 表示と高LDLC 表示は減少していたが、高血糖 表示は減少していなかった。降圧剤や抗脂血薬に比べ、糖尿病薬の効果は少ないのではないか?」と質問すると、「血糖はあまり下げないかもしれないが、合併症を抑えている可能性がある」と答えられた。

午後620分から懇親会があった。A氏は「薬に頼り過ぎようとしている。食事と運動をもっと取り入れるべきだ」と言う。B氏は「認知症が予想以上に増え、国は認知症のリスクとなる糖尿病やメタボ対策に力を入れている」と言う。

認知症を防ぐためには、動脈硬化を起こしやすいトランス脂肪酸や飽和脂肪酸を減らし、n-3系多価不飽和脂肪酸(エゴマ油・青魚など)の摂取を増やし、運動(歩行・太極拳など)を行なうとよいだろう。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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