映画「日本のいちばん長い日」と平和への道
2015年8月25日、半藤一利原作、原田眞人監督・脚本の映画「日本のいちばん長い日」を観に行った。
午後5時40分、館内は高齢男性が多い。1945年、太平洋戦争での日本の戦況は悪化し、東京大空襲から地方都市まで爆撃されるようになる。東条英機元首相は「本土決戦になっても、日本人全員が総玉砕の気持ちで、2000万人が特攻となって戦えば、日本は必ず勝利する」と、若手将校たちを鼓舞してまわる。
7月、連合軍はポツダム宣言の受諾を迫り、降伏か、徹底抗戦か連日閣議が開かれるが結論は出ない。8月6日広島に、9日長崎に原爆が投下され、9日にはソ連が参戦するが、若手将校たちは敗戦を受け入れられない。
天皇陛下(本木雅弘)は、敗戦の御聖断を下される。阿南陸軍大臣(役所広司)は、陸軍によるクーデターが起こらないよう終戦に向け尽力するが、畑中健二少佐(松坂桃李)ら若手将校は反乱を起こし、玉音放送を阻止しようとする。阿南惟幾(あなみこれちか)陸相は、どのようにして反乱軍の暴走を阻止することができるのか?
映画の中で、ソ連が満州・樺太に侵攻してきた話が出てくる。
半年前、法曹界OBとフランス料理を食べながら、雑談をした。法曹界OBは「終戦時、ソ連は仙台から北を統治することを要求したが、米国は樺太・千島列島はソ連領にしてもよいが、北海道・東北には侵攻しないよう約束した。このことを記した文書は、厳重に保管されている」と言われた。
数年前、新聞社OBと幕の内弁当を食べながら、国際情勢の話をした。新聞社OBは「日本は北方四島を返還してくれと頼んだが、ロシアは日本国内にあるM基地を共同で使わせてくれるのなら返還してもよいと返事をしてきた。日本としては、とても飲めない要求だ。
エトロフ島の沖の深い海溝は、ロシア軍潜水艦の太平洋の軍事拠点で、四島全てを返還することはあり得ない。終戦時、米国はソ連が北海道を統治しないという条件で、北方領土の統治を約束した。米国は北方四島返還に関して、これからも日本に協力することはないだろう」と言われていた。
どこまでが真実かわからないが、いろいろな職種の人と食事をしながら話をすると、今まで知らなかった情報を得ることができる。
終戦日が延びていたら、ソ連が北海道から東北に侵略し、実効支配されていた可能性がある。仙台で日本が分割されていたら、仙台より北は共産主義国家に、仙台から南は資本主義国家になっていたかもしれない。朝鮮半島のように、南北の日本人同士が対立する悲惨な状態になっていただろう。
もし、8月15日より終戦が遅れていたら、日本はドイツや朝鮮半島のような分断国家になっていたかもしれない。日本の将来を考え、命を懸けて、若手将校たちの暴走を阻止した理性ある人たちに感謝したい。