伊丹の食・街歩きと要介護・壺中天有り
2015年9月13日、兵庫県伊丹市にある「伊丹酒蔵通り」を散策した。
筋力が衰えると、骨折や生活習慣病を起こしやすくなり、健康寿命(メタボ教室第12段「健康寿命」)が短くなる。健康寿命を延ばすため、土日はどこかに出かけ歩くようにしている。厚労省によると、2013年の健康寿命は男性71.19歳で平均寿命80.21歳との差は9.02年、女性74.21歳で平均寿命86.61歳との差は12.4年と大きくなっている。
午後12時20分、29℃と陽射しが強い中、阪急伊丹駅から東に向かって歩く。途中から石畳となり、左手には3つ並んでお寺があった。真ん中にある1589年創建の浄土宗「正善寺」には、月影幼稚園が併設されていた。10年もたつと、街も人もすっかり変わっている。
右手には、老松酒造があった。老松丹水の前には30人の行列ができており、2つの蛇口から出る水をポリタンクに入れていた。老松丹水は江戸時代から酒造りに使われている井戸水で、地下95mから汲み上げられている。
さらに進むと左手に西洋懐石「アンシャンテ」があった。ここに移転する前、伊丹市野間にあった頃は、誕生日など家族で20~30回行った店だ。待っている人もあり、今もよく流行っているようだ。
その向こうには、小西酒造の「白雪長寿蔵ブルワリーレストラン」があった。市立伊丹病院時代、歓送迎会や忘年会で7~8回は利用した。
午後1時5分、伊丹みやのまち4号館にある創作和食「蒸musunん」でランチを食べた。店内にはYテレビアナウンサーなど4枚の色紙が飾ってあり、吉本新喜劇の石田靖の色紙には「一期一笑 2015.4.12」と書いてあった。
前菜3種の次は、5種の野菜のチーズフォンジュが出てきた。メインは鹿児島県産黒毛和牛と霧島山麓豚の蒸し料理だった。モヤシ、キノコなど野菜も多い。タレが、紀州産熊平の梅おろし、スパイシー風ソルト、白味噌ソースと3種あり、いろいろな味を楽しむことができた。ラストは、トマトソースの蒸し通しパスタだった。
「韓国の100歳以上の長寿は、蒸した野菜を食べている人が多かった」とソウル大学教授の講演(メタボ教室第483段「西太平洋地域のリスク」)が想い出された。
阪急伊丹駅周辺には、新しい老人施設がいくつも建てられていた。超高齢化社会の中で、自分一人では自立できない要介護の人が増えている。寝たきりになっても、悲観することはない。脳の中は小宇宙で、地球より広いともいえる。
安岡正篤(メタボ教室第283段「リーダーシップ」)の六中観に「壺中天(こちゅうてん)有り」がある。六中観とは、忙中閑・苦中楽・死中活・壺中天・意中人・腹中書の六つをいう。狭苦しいと思われる壺の中でも、上を見上げればはるか宇宙を見ることができる。心がけ一つで別世界に入ることができる。
休日は外に出て歩き、筋肉の衰えを防いで、健康寿命を延ばそう。壺中天有り。たとえ要介護になり、自分で立つことも歩くことができなくなっても、絶望することはない。脳の中は、無限の空間を持っている。