「さかい利晶の杜」と薬物依存症・ドーピング
2016年3月6日、午前11時50分、大阪府堺市宿院にある「さかい利晶(りしょう)の杜(もり)」に行った。
1階奥は千利休の展示、2階は与謝野晶子の展示となっていた。茶室「無一庵
表示」は、4畳半の部屋で、窓が多く、天井には月の光を入れる窓もあった。茶室「さかい待庵」は、2畳の狭い部屋で、床の前に豊臣秀吉が座り、利休は入口に座っていたという。茶室には苔むした庭を通って、別世界に入るように設計してある。「立礼茶席
表示」はイス席で、"直心是道場"と書かれた掛け軸を眺めながら、堺市産の抹茶とお菓子を味わった。
1階手前には、市立堺病院(金万和志院長)の模型と写真
表示があった。「さかい利晶の杜」は、市立堺病院跡地に建っていた。研修医をしていた頃、市立堺病院で当直をした。1974年11月16日午後11時、ソセゴン中毒(依存症)患者が来て、午前3時まで粘られたことがある。
先月、元プロ野球スーパースターのK選手が、覚醒剤使用で逮捕された。「K選手は始め、覚醒剤類似薬物を使っていたが、覚醒剤をうって3日連続ホームランを打った」と元同僚がテレビで語り、スポーツ紙の1面にもその記事が載っていた。
「ホームランバッターが、瞬発力を増す覚醒剤類似薬物を使っている」という噂は、30年前からあった。覚醒剤類似薬物は依存性がないので、中毒になることはない。K選手は「もっと、瞬発力を増してホームランを打とう」と、一線を越えて、依存性のある覚醒剤に手を出したのだろう。
K選手が人気球団にいた頃、友人は「K選手はGH(成長ホルモン)を使って、筋肉をつけている。GHは1ヵ月40万円と高く、1年で480万円かかる。スター選手でないと、高額なお金が出せない。GHで筋肉を増やしても、骨や関節は強くならないので、怪我をすることが多くなる。急に筋肉が増えたり、よくケガをする選手は、GHを使っていると疑った方がいい」と言っていた。
メタボ教室第32段「スポーツ選手は健康という落とし穴」に出てくる有名プロ野球選手はK選手のことだ。日本医学会総会で、"BMIが高くても筋肉が多いと健康だ"という例に、K選手が出ていた。
大相撲力士大麻問題が起きた2008年、スポーツ新聞記者と食事をしながら2時間話をした。記者は、「大麻は相撲に勝つために使っている場合もある。大麻は恐怖心を無くすので、同じ力量だったら、大麻を使用している力士の方が、強くぶつかることができる」と言っていた。
K選手のGH使用について聞くと、記者は「日本のプロスポーツ界は、ドーピングを野放しにしている。K選手以外に、・・・がGHを使っている」と、10数人のプロスポーツ界の人の実名をあげられた。その中には、誰もが知っている3人のスーパースターも含まれていた。スポーツ新聞記者は、誰がドーピングをしているか詳しく知っているが、書かないだけなのだ。
「直心是道場」、"さかい利晶の杜"の利休の茶室は、心を無にして自然の中に入り、ありのままの自分になれる所だった。プロスポーツ選手も、薬物を使わず汗を流し、練習によって体を鍛えるとよい。