倉敷市児島の食と医師の地域偏在
2016年6月4日、岡山県倉敷市児島に行った。
午後6時、瀬戸内海に面する「仙太鮨(せんたずし)」
表示で食事をした。2階のカウンター席に座ると、目の前に瀬戸内海の絶景
表示が広がる。左手に槌島、その右にクジラ島、遠くに四国の山並み、右手には瀬戸大橋が見える。
カウンターには、アコウ・アワビ・ウニ・鮪大トロなどが並ぶ。冷酒"梅錦"を飲みながら、オコゼ・トリ貝・赤鯛の刺身、シャコの酢の物、サワラの煮付け、海老の天ぷら、穴子などの寿司を食べた。江戸前寿司で、大将は「ネタのよさと、すし飯の握り具合で勝負している。児島湾の青うなぎを使った"うな重"は、東京では1万円はする」と言われる。
やさしそうな板前さんに「瀬戸内7県で、地中海クルーズのような瀬戸内クルーズが計画されている。クルーズ寄港地として広島県は宮島・鞆の浦などあるが、岡山県はどこかないか」聞くと、「岡山県ではないが、直島がいいのでは」と答えられた。
締めのワサビがたっぷり入った"かんぴょう巻き"が美味しい。その後場所を移して、郡市医師会の人と午前1時まで、医師の地域偏在・年金・介護保険料・消費税・生活保護者医療費・超高額薬剤(メタボ教室第584段「少子高齢化対策」)などの話をした。
2016年4月、財務省の財政審は、「肺がん治療薬オプシーボの1年間の薬剤費は、1兆7500億円に上る」と試算している。食道がん・胃がん・腎がん・肝がんに保険適応が拡大されれば、抗がん薬の市場は年間10兆円近くになるため、"高額医療費制度"の抜本的見直しが検討されている。
郡市医師会理事は「県庁所在地など大都市を除く、地方の医師不足が深刻だ。身近な医師が、東京や京都に行った。地方の病院の70%は、後継者がいない」と言われる。
医師は、都市部に集中している。開業斡旋業者の仲介により、地方の医師が大都市圏で開業することが容易になった。H県の新規開業の半分は、中国・四国・九州出身者で、県庁所在地以外の公立病院勤務医が大部分だ。医師不足は、県庁所在地や大都市では不足していなくても、山間部や島部では不足している。
2016年5月28日、日本病院会は勤務医不足に関する664病院のアンケート調査を公表した。5年前と比較した常勤医は、中核都市の病院では65%が増加しているが、郡部の病院では43%が減少している。常勤医が不足していると答えた病院は郡部で93%あり、医師の地域偏在が拡大している。
勤務医不足解消に必要な対策として、地域枠入学の活用は73%、へき地勤務義務化は58%の病院が賛成している。郡部の選挙民は、地元の国会議員に働きかけ、「各都道府県にある国公立大学医学部の地域枠入学者のへき地勤務義務化」などの法案を成立させるとよい。医師の地域偏在も、少しは解消するだろう。
倉敷市児島は瀬戸内海に面し、魚の美味しい風光明媚な港町だった。医師の地域偏在は、拡大をつづけている。国策として、「各都道府県の国公立大学医学部に地域枠をもうけ活用する」などの対策が必要だ。