太極拳と医学部地域枠・産科医不足
2016年7月1日、大阪府高槻市で太極拳を行なった。
午後6時10分、重見冨陽子師範に「最初に来られた頃より、体の動きもよく、随分元気になられましたね」と言ってもらった。太極拳も2005年6月から始めて、11年1か月になる。私は「太極拳はストレス解消にもなる。海外で、メンタルヘルスに利用されている"マインドフルネス"は、太極拳の呼吸法や立禅の瞑想に似ている」と話した。
太極拳仲間のHさんが近づいて来て、「週刊ダイヤモンドに、医学部の記事が載っていましたよ。日本中の秀才が医学部に集まり、地方の国公立大学医学部入学者は、東大に入る学力がある。私学の医学部の偏差値も上がっている。新専門医制度で、医師の東京一極集中が益々強くなると書いてあった。知り合いの子どもさんが、地方の私立大学医学部に行き、6年間で7200万円かかった」と言われた。
私は「今、医師の間で"医学部地域枠で入学した学生が、県外に就職すること"が問題となっている。T県では今年卒業した13人のうち、3人が県外に就職した。F県では14人中4人が県外に就職したこともある。地域枠で入学しても、1000万円払えば県外に就職できる。私立大学の医学部学生は6年間で1200万円の税金しか使われていないが、国公立大学の医学部学生には6年間で5000万円の税金が使われている。
違約金が1000万円では安すぎるという声が、医師の間では大きい。5000万円の税金を使い、1000万円だけの違約金では4000万円の得になる。防衛医大の違約金は5000万円だ。このままでは、過疎地の医師は益々減少する」と話した。
現在、小学生には1人年間91万円、中学生には106万円、公立高校生には111万円の税金が使われている。医学部入学者9134人の地域枠は14%で、年間5000万円×1278人=639億円の税金が過疎地医師不足対策に使われている。
阪大2内の後輩医師は「地域枠で入った人の自由もある。法改正をして、最低9年間は、その県でしか保険医登録ができないような医師免許を発行するとよい」と言う。過疎地の選挙民は、「地域枠の医学生は最低9年間その県に残る。他府県に出る場合は、違約金を5000万円支払う」などの法案を作るよう地元の国会議員に陳情するとよい。
メディアは東京に一極集中し、格差問題も都市の中での格差が中心で、都市と地方との格差問題はあまり取り上げない。イギリスのEU離脱のように国民投票を行えば、首都圏の3倍以上の人口がある地方の方が勝つだろう。
私は、10年以上前から広島県庄原市に帰省するたび、地元の人から「庄原市には産科医が1人もいない。どうすればよいか」と聞かれてきた。その度、「広島大学医学部に地域枠を作り、産科医を庄原日赤病院に来てもらえばいい」と言ってきた。全国に産科医は1万人いるので、人口3万8000人の庄原市に産科医は3人いてもいい。
医学部地域枠の卒業生が簡単に県外に就職できるとなると、東京一極集中となり、過疎地の医療は崩壊する。産科医のいない地域に、若者は来ない。地域枠で入学した医師を、過疎地住民は心待ちしている。