過疎地の医師不足と新専門医制度
2016年8月26日、大阪府高槻市にある割烹"都月"で「太極拳サマ会」があり、10名が参加した。
午後6時30分、練功十八法・八段錦・太極拳をした後、阪急高槻市駅南側にある都月に行った。太極拳仲間には、高知県足摺岬・岡山県吉備高原・兵庫県但馬など過疎地出身者が多い。「子供のころは、高知市まで5時間かかった」「庭にいた鶏を、そのまま家に持って入り料理した」など"田舎自慢"が始まる。
この日最大の話題は、リオ五輪男子4×100mリレーだった。ウサインボルト選手と肩を並べたケンブリッジ飛鳥選手が人気だ。戦後と違い、日本でも外国人との結婚が普通になってきている。
無医村では、外国人医師でも歓迎する所がある。6~7年前、無医村の人と話をした時「米国コロラド州の無医村に、フィリピン人の医師が来た。初め反対していた人たちも、医療に熱心に取り組むフィリピン人医師を受け入れた。技術を持ち、過疎地医療に熱意のある医師なら、外国人医師でもかまわない」と言われた。
5年前、N新聞記者と過疎地の医療について、食事をしながら話をした。記者は「東京など大都市の名門校から、Y医大・K医大・M医大など地方の国公立大学医学部へ大量に合格し、卒業すると都市部に帰ってきている。1人の医師を養成するために、6000万円税金が使われる。何年間かは、地方で勤務するよう義務づけるとよい」と言われた。
2016年7月、岡山県の友人と話をした。友人は「岡山県北への企業誘致がほぼ決まった。契約寸前になって、病院の勤務医を確保することが難しく、津山の病院まで行かなくてはならないことがわかり、最後の最後で契約できなかった」と言う。道路、学校、病院とインフラが整備されても、病院勤務医が確保できなければ、過疎地への企業誘致は難しい。
阪大2内の後輩医師に、「公立病院勤務医の日本での年収は、アメリカの半分だ。過疎地の病院勤務医の年収を、アメリカ並みにするのはどうか」と話すと、後輩医師は「年収を2倍にしても、過疎地に勤務医は集まらない。それより、1年過疎地の病院に勤務すれば、新専門医が取得できるなどインゼンティブを与えればいい」と言う。
北海道の遠軽厚生病院は今、産科医不足になっているという。遠軽厚生病院で1975年から2年間、阪大医学部の同級生2人が研修医をしていた。同級生4人で、1975年8月22~27日遠軽に行き、病院官舎に泊めてもらった。昼はゴルフやオホーツク海・原生花園・摩周湖観光を、夜は寿司やジンギスカンを食べた。過疎地での研修は、とても楽しそうだった。
広島県北部の医師不足も深刻だ。今の新専門医制度の基準だと、広島県北部に7つある基幹病院のうち、5つの病院で新専門医が取得できない。研修医が来なくなると、県北の医療は崩壊する可能性がある。
過疎地での病院勤務医確保が難しくなっている。新専門医制度が始まると、過疎地は医師不足となり、地方は衰退する。一定期間過疎地で勤務すると、新専門医が取得できるなどインセンティブを与えるとよい。