武市半平太ゆかりの宿・京料理と「医師東京一極集中」
2016年11月20日、京都市中京区木屋町にある京料理「箔」へ行った。箔は、大学のクラスメートお気に入りの料亭で、明治維新で活躍した土佐藩士・武市半平太の宿"四国屋丹虎"を改築している。
午前11時50分、木屋町通りに面する狭い入口
表示から、細い石畳の路地を入っていった。武市半平太が、1862年8月から半年間住んでいた部屋
表示で、京弁当膳を食べた。南天の床柱ともみじの床板は、武市が使っていた当時のままで、今ではこれだけの木は、なかなか手に入らない。床柱の左には、坂本龍馬の掛け軸がかかっていた。坂本龍馬や中岡慎太郎も、この部屋を訪れている。
先附はアン肝と蟹の身の土佐酢ジュレ、御造り
表示は生きのいいフグ・車海老・アジ・ヒラメだった。京弁当
表示は二段重ねで、一段目にはカラスミの白和え・鯖の生寿司・鰯の煮物・もずく・れんこん・黒豆・栗きんとん・胡桃など、二段目にはマイタケと牡蠣の天ぷら、雲丹と焼椎茸、里芋の煮物などが入っていた。
武市の部屋から、鴨川沿いに紅葉した木
表示が見える。武市も154年前、同じ景色を眺めていたのだろうか。次いで、作り立ての出し巻き玉子、イチョウやモミジで飾られた漬物
表示、炊きたての篠山産コシヒカリが釜のまま出てきた。器の多くは、丹波篠山立杭焼きが使われていた。
今、医師の東京一極集中が話題になっている。東京都中央部(千代田・中央・港・文京・台東区)の医師数が、2004年8204人から2014年1万834人と32%増で、全国1位の増加率となっている。一方、過疎地は人口当たりの医師数が少ないにも関わらず、10年間で3%減少しており、「東京の医師が過疎地に行けば、医師の地域偏在は解消する」と指摘されている。
医師の地域偏在解消のためのアイデアは、いろいろある。東京の保険医数を制限すれば、生活できない医師が過疎地に行く。東京も過疎地も同じ給料なら、東京の方が子供の教育、娯楽も多く、海外旅行にも便利だ。過疎地医師の給料を2倍に上げれば、1か月交代で都会に住む家族と過ごすこともできる。過疎地への企業誘致には、警察・消防・学校・病院は欠かせない。「公務員にならないと、保険医になることができない」「卒後2年間、過疎地勤務を義務付ける」という方法もある。
前日の2016年11月19日、米国ロサンゼルス在住の知人と、トランプ次期大統領など米国情勢について話をした。知人は「ロサンゼルスにあった銀行・商社・企業などの本社がニューヨークに移転し、ニューヨーク一極集中になっている。カリフォルニア州が独立するという話も出ている」と言う。
2017年、医師が多い首都圏に、新しく医学部が開設される。新設するなら、北海道や西日本の方が地方創生にいい。山口・福岡・和歌山・広島・鳥取など、西日本には有力国会議員が多い。東京vs地方の戦いになれば、明治維新の時のように地方が勝つ可能性が十分ある。
明治維新の立役者・武市半平太が暮らしていた部屋で食べる京料理は、格別の味がした。医師東京一極集中を是正すれば、過疎地医師不足は解決する。それには、地方国会議員の強力なリーダーシップが必要だ。