広島カープ優勝記念公演と視床下部性肥満・脳腫瘍
2016年11月26日、大阪市福島区福島1丁目にあるABCホールで、"演劇集団よろずや"による広島カープ優勝記念公演「炎のストッパー 津田恒美物語:バイバイ」を観劇した。
午後2時、JR大阪駅からABCホールまで歩いて行った。300席全席指定で、前売り券は完売
表示となっていた。演劇集団よろずやの寺田夢酔脚本・本仮屋ユイカ主演「誰でもないあなたに」は、2016年11月3日朝日放送が生中継した「ABCドラマグランプリ」で、97劇団中2位となっている。
若い頃は雑誌「ピア」を見て、大阪では心斎橋にある島之内小劇場、扇町ミュージアムスクエア、東京では六本木で寺山修二、新宿で唐十郎、池袋シアターグリーンなど観に行っていた。関西の演劇界には、劇団「そとこばち」の槍魔栗三助(のち生瀬勝久)・辰巳琢郎、劇団「売名行為」の升毅、「劇団☆新感線」の古田新太・渡辺いっけい・筧利夫・羽野晶紀らがいる。
ABCホールは、阪大病院跡地を再開発した"ほたるまち"にある。阪大医学部5年生の1972年から21年間、ここに通っていた。第2内科の医局があった東館の跡地には、検察庁
表示が建っている。第2内科の駐車場は、福沢諭吉誕生地
表示前の堂島川沿い
表示にあり、諭吉は中津藩蔵屋敷から緒方洪庵の「適塾」に通っていた。
第2内科の病棟は東7階と西2階にあり、100kgを超す高度肥満患者が、常時3~4人入院していた。3か月間の入院で、月8~10kg減量し、阪大2内の肥満外来は全国ランキング1位になっていた。高度肥満が全国から集まり、東京2人・四国1人・九州1人が同時に入院していたこともある。
阪大2内は他大学と、視床下部性肥満の症例数を激しく競っていた。視床下部性肥満は、満腹中枢の異常によって起こる肥満で、原因は脳腫瘍によるものが最も多い。私は、阪大脳外科にいる大学時代のクラスメートに頼んで、急に太った肥満
表示を集めた。阪大2内の視床下部性肥満は25例(日本内科学会雑誌1995年
表示)となり、最多症例数となった。
日本での視床下部性肥満の研究に対する評価は低い。米国での"視床下部性肥満モデル動物PVNラットの研究"には、NIHから5年で3億円がでたが、日本では文科省の科研から300万円しかでなかった。米国と日本では、研究費に100倍の差がある。
午後3時、D列16番で観劇した。球場と病院の場面がスイッチバックするが、脚本がしっかりしているので、ストーリーがわかりやすい。声援の音響が、球場の躍動感をうまく出している。妻が津田に脳腫瘍を伝えたころから、客席の至る所で、すすり泣く声が聞こえてきた。
若き日の緒方孝市監督・北別府投手・達川捕手・正田内野手・山崎外野手・安仁屋コーチ・山本浩二監督らが頻繁に出てきて、広島カープファンにとってはたまらない舞台だ。広島公演は2016年12月23日、広島県民文化センターで行われる。
広島カープは25年振り、7度目の優勝を飾った。演劇はテレビやDVDで見るより、生の方が同じ空間・時間を共有でき、圧倒的な存在感がある。長年いた阪大病院跡地に来て、脳腫瘍による視床下部性肥満が甦った。