異業種新年会と過労死・医師の過重労働

2017年1月22日

    2017116日、大阪市北区にある「ふぐ料理専門店」で、異業種新年会があった。

午後6時、店内には色紙が50枚ぐらい飾ってあった。近鉄バファローズの選手のサインが多い。「梨田監督がよく来られる」という。「店の看板が小さく、開店しているのかどうかわかりにくい」と言うと「一見さんが来られると、常連さんに迷惑になるので、わざとわからないようにしてある。先日も、今田耕司がテレビの取材に来たが断った。予約の人数に合わせ市場で仕入れし、その日に獲れた魚しか出さない」と言われた。

 

てっさ・ふぐ唐揚げ・寒ブリ寿司・鯛の姿焼き・鯖刺身・ふぐしゃぶ・てっちり・ふぐ雑炊を食べながら話をした。M電気が違法残業で書類送検されたこと、大手広告代理店D社の若い女性社員が過労死したことが話題になった。

DOBと、郵政民営化選挙の後、話をしたことがある。私が「D社は広告を介して、テレビ・新聞などメディアに絶大な影響力を持っている。D社は、どうやって大きくなったのか」聞くと、DOBは「最初は小さな広告会社だった。戦後、4代目社長が、満州から引き揚げ職に就かず、ぶらぶらしていた満州鉄道・満州銀行などにいた優秀な人材を集めた。4代目社長は、D社の中興の祖だ」と答えられた。

太平洋戦争前の満州は、建物は荘厳、住宅は暖房完備、トイレは水洗式、鉄道も豪華で東京よりはるかに進み栄えていた。満州の人脈は、現在の日本にも大きく残り、日本を動かしていると思った。

 

証券OBから「若い医者は年収300万円と安い。6年間通い、授業料は高く採算は取れるのか。大手企業の方が、生涯収入は多いのではないか」聞かれた。私は「卒後2年間は360万円だが、3年目からは当直ができるので500600万円になる。年収は1200万円平均で、大手銀行・証券・新聞社・テレビ局などより少ない」と答えた。

2004年の日本の医師の年間平均給与は1228万円で、米国1956万円・英国1621万円・カナダ1420万円・フランス1126万円・フィンランド750万円・チェコ523万円に比べ大差ない。しかし、日本の医師の労働時間は70.6時間/週で、先進国の4050時間/週に比べ長時間労働となっている。日本の医師の時給は3344円で、米国7320円・英国7023円・カナダ5356円・フランス4100円・フィンランド3653円に比べ少ない(日医雑誌2010)。

 

56年前、厚労省OBに「病院の当直は、寝るだけのはずだが、実際は一晩中救急患者が来て、診療をしている。朝から働いて当直し、翌日も働くと36時間連続労働になる。労働基準法違反ではないか」聞くと、「医師は労働者の1%にもならない。医師より低い給料で、もっと過重労働を強いられている職場がたくさんある。そちらの方が先だ」と答えられた。

日本の過労死・過重労働が問題となっている。日本は、労働時間当たりの生産性が低い。日本の医療は、医師の過重労働の上に成り立っている。医師の当直を3交代制にするなど、医師の働き方の見直しが必要だ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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