入れ墨・エイズ・C型肝炎とメディアのタブー
2017年4月27日朝、テレビ「す・またん&ZIP!」を見ていると、「タトゥー(入れ墨)を施す行為は医師法違反にあたるかどうかが問われた裁判が26日、大阪地裁で始まった」と放送していた。辛坊治郎アナウンサーは「入れ墨をすると、エイズなど感染症にかかる危険性がある。・・」と解説されていた。
2009年、新聞記者とフランス料理を食べながら、最近の医療について、2時間話をした。
私が「C型肝炎が専門の教授が"入れ墨をしている人は、していない人の何倍もC型肝炎が多い。鮮やかな色を使った入れ墨をした人ほど、C型肝炎が多い。いい色の墨ほど何人にも使われるので、墨の中にC型肝炎ウイルスが入りやすい"と講演された。最近、タレントやスポーツ選手の間に、タトゥーが流行っている。知らせなくていいのか」と聞くと、「入れ墨とC型肝炎との話はタブーになっている」と答えられた。
日本医師会は2003年9月、「C型肝炎についてQ&A」の中で、どのような人がC型肝炎の検査を受ければよいか?の質問に「入れ墨をしている者、ボディピアスを施している者」と答えている。
厚労省は2005年8月、「C型肝炎対策等の一層の推進について」の今後の対策の中で、「入れ墨(タトゥー)やピアス、出血を伴う民間療法などを行う場合等には、C型肝炎ウイルスを含む各種病原体への感染リスク(他人の血液が体内に入る可能性)が存在することを知らせ・・」と書いている。
日本赤十字社は献血時に問診をし、「タトゥーを入れたりピアスの穴をあけた場合、少なくとも6ヶ月間は献血できない」としている。
後輩医師は「入れ墨の墨は、金属を含んでいるので、MRI検査をすると熱がでる。"MRIで入れ墨の色が褪せてもいいか"聞くと、止める人もいる」と言う。消化器専門医の女性医師は、「この裁判が契機となり、入れ墨とC型肝炎との関係が世間に広まると、入れ墨を躊躇する若い女性が増えていいかもしれない」と言う。看護師の入れ墨は、医師会でも問題視されている(大阪府医ニュース2017年5月3日号
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C型肝炎は治る病気になっているが、C型肝炎ウイルス治療薬は1人3ヶ月500万円かかり、ハーボニーの売り上げは2016年2960億円と1位になっている。予防して治療代を減らし、その分保育士の給料を上げるなどした方がいい。感染を防ぐには、墨は小分けにしてその人だけに用い、針は1人に1本ずつ使い、使い捨てにすることが必須だ。
世界には、入れ墨を風習としている国もあれば、アートやファッションに取り入れている国もある。米国では彫り師のライセンス制をとっている州もある。これから入れ墨をした外国人観光客が増えるだろうが、HIVウイルスやC型肝炎ウイルスは、日常生活で感染することはなく、偏見を持たず普通に接すればよい。
8年間タブーとなっていた「入れ墨とエイズ・C型肝炎との関係」が、テレビでも報道されるようになった。入れ墨による感染症を防ぐには、一度使った墨や針は他の人に使わないなどの法整備が必要だ。