西宮北口の桜と「私立病院急性期医療崩壊」
2017年4月10日、兵庫県西宮市南昭和町にある日本料理「花ゆう」で、医療仲間と食事会をした。
午後5時45分、阪急西宮北口駅北西の川沿いにある桜
表示は、満開になっていた。西宮北口(阪急神戸線)は、関西住みたい街ランキング2017年で5年連続1位となっている。この街に1968年から1976年まで8年間住んでいた。阪急電車で大阪、神戸にも近い。駅北西は塾も多く、街並みも40年前と同じだ。阪急百貨店などが入った"阪急西宮ガーデン"もでき、買い物も便利になった。
午後6時、"花ゆう
表示"で懐石料理を食べながら話をした。私立病院長は「東京都心にある有名なS病院が大赤字になり、経営危機に陥っている。私の病院も消費税を払わなくてはならず、利益が出ない。急性期医療は、経営が苦しくなっている。国公立病院は補助金が出ていいが、私立病院は赤字になると倒産する。儲かるリハビリや、在宅医療を始めようと思っている」と言う。
私は「消費税を断ったのは、日本医師会だ。大蔵省(財務省)の人が何度も"外税にした方がいい"とアドバイスしたが、当時の日本医師会の担当者が外税を断った。消費税より、超高額薬品で医療費が増大し、その分急性期医療への医療費が削減されていることの方が大きい。効果のある治療は、超高額であっても保険適応してきた中医協に責任がある。と日経新聞(2017年4月7日
表示、4月11日
表示)にも書いてある」と話した。
東京の病院に勤務していた医師は「東京の勤務医の年収は低く、部長クラスでもバイトをしている。家賃も大阪の2倍はする」と言う。
私が「医師の東京一極集中がなくなれば(メタボ教室第626段「医師東京一極集中」)、医師の地域偏在は解消する。弁護士が増え収入が減ったように、医師が過剰になると給料は下がる。何故、東京の医師は地方に行かないのか」聞くと、「東京の方が大阪に比べ、情報量が圧倒的に多い。東京では、国の政策や診療ガイドラインを作る人と、直接話をすることができる」と答えられた。
午後8時40分、外に出ると満開の桜
表示が明るく照らされていた。「西宮北口の阪急西宮球場跡地に、県立西宮・尼崎・塚口病院・市立西宮・芦屋病院の5つの病院が一緒になって阪神総合医療センターができ、センター長に阪大2内の教授がなる」と情報を教えてくれたのも、国の友人だった(メタボ教室第175段「京都の紅葉」)。
後輩医師は「阪大2内の教授が阪神総合医療センター長になっていたら、京大系の県立尼崎と塚口病院にいる京大の先生は総引き揚げしていたでしょうね」と言っていた。2つの病院は合併し、尼崎総合医療センターになっている。2017年2月、阪大系の県立西宮病院と市立西宮病院の合併が正式に決まった。西宮北口に阪神総合医療センターができていたら、阪急西宮ガーデンはできず、住みたい街1位になっていなかっただろう。
阪急西宮北口の桜は満開になっていた。私立急性期医療病院は、診療報酬の低下で経営危機となっている。急性期医療を扱う私立病院がなくなると、地域住民が困る。国民医療費を、適切に配分する政策が必要だ。