朝鮮半島情勢とメディアのタブー
2017年4月15日、米朝の緊張が高まる中、テレビ「新・情報daysニュースキャスター」を見ていると、東京がミサイル攻撃を受けた時のシミュレーションをしていた。
安住紳一郎アナウンサーは「12キロトン級(広島は15キロトン)の核爆弾搭載の中距離弾道ミサイルが、国会議事堂付近で地面爆発をすると、死者約42万人で日本の中枢機能は一瞬で停止、2.5キロ以内に存在する人の90%以上は、一瞬で消える。サリンだと23万人の死者が発生する」と解説されていた。
2017年4月13日、安倍総理は「サリンを弾頭につけて着弾させるという能力については、既に北朝鮮は保有している可能性がある」と初めて公表された。安倍総理の母校・南カリフォルニア大学(USC)同窓会は、安倍政権の安全保障面でのブレインとなっている。USC同窓会に出席すれば、安倍総理の耳に入る前に北朝鮮の動向を知ることができる。
4年前の2013年5月、韓国ソウルでUSC同窓会が行われた。USC教授は「北朝鮮はMisawa・Tokyo・Okinawa・Shanghai・Beijinをミサイル攻撃する能力を持った(メタボ教室第483段「西太平洋地域のリスク」)」と話された。少なくとも安倍政権は、4年前から北朝鮮からミサイル攻撃を受けるかもしれないことを知っていたと考えられる。
2017年4月16日のテレビ「サンデーモーニング」を見ていると、北朝鮮は「在日米軍基地を攻撃目標」と、"日本本土と"の言葉を抜いて字幕が出ていた。意識的に日本の米軍基地を強調したいのか。全国放送を見ていると、「三沢・岩国・佐世保が狙われている」など、最も可能性がある東京を避けて報道している番組が多い。
コメンテーターが「中国が石油の供給を止めるなど、経済制裁を強めればいい」とコメントしていた。中国の北京は、4年前から核ミサイルの標的となっており、強い制裁をすることができない。北京の中南海が攻撃を受けたら、習近平国家主席の命もあっという間になくなるのだ。大陸間弾道ミサイルが完成する前でないと、トランプ大統領は北朝鮮を攻撃できない。
北朝鮮が日本を狙うとしたら東京だ。一週間前、大阪だけのテレビでは、「人口が密集した東京と大阪が一番狙われる」と放送していた。2週間前「そこまで言って委員会NP」で、"報道にタブーはあるか"との質問に、Y新聞論説委員は"タブーはない"と答えていた。Y新聞記者と2時間話をしたことがあるが、新聞はタブーだらけだった。メディアのタブーは、考えてもいなかったような意外なものが多く、私のブログにも書けないようなことばかりだった。
ここ12年間、委員会や異業種の会で、新聞社の人とは月1~3人、テレビ局の人とは月1人程度会う機会があった。テレビ局や新聞社の人は信頼できるが、テレビや新聞は重要な出来事を報道しないなど信用できない。数年前、全国紙論説委員と話をしたとき「北朝鮮による核攻撃や原発破壊を報道するのはタブーとなっている」と言われた。
4年間タブーとなっていた北朝鮮の東京攻撃が、テレビでも報道されるようになった。東京の人の不安を煽り過ぎてもいけないが、メディアは圧力に屈せず、朝鮮半島で起こっている事実を伝える必要がある。