インバウンドー訪日外国人誘致と未来予測
2017年4月19日、ホテルグランヴィア大阪にある日本料理「浮橋」で異業種の会があった。
この会は、京大応援団長と阪大応援団長が作った異業種の会で、1987年に始まってから30年になる。当時は、みんな係長クラスだったが、今は社長クラスになっている。おしゃべり好きな人が多く、飲んで食べてチャチャを入れながら、法学・経済学・医学・薬学など、いろいろな分野の勉強をするのが特徴だ。
アイデアマンが多く、アイデアが実現しニュースになったことも多い(メタボ教室第338段「山陽・九州新幹線」)。20年前、大阪府市統合に向け動いたのもこの会で、上司になる当時行政のトップや企業のトップに働きかけ、大阪都構想のトップ会談が実現している。
午後6時30分、生ビールに八寸(雲丹・さざえ・・)で始まった。椀物の"あさり青砂真丈"が美味しい。今月の勉強会の当番は、大手ホテルチェーン社長で、テーマは「日本におけるインバウンドの伸びについて」だった。インバウンドとは、外国人旅行者を自国へ誘致することだ。
ホテルチェーン社長は、「インバウンドに、毎月海外に行っている。今年は、ドバイ・スペイン・マレーシアに行ってきた。2016年の出国日本人数は1711万人で、2011年の1699万人とほとんど変わらない。一方、訪日外国人数は、2011年の東日本大震災を境に、622万人から2016年2403万人と急速に増加している。震災を契機に、観光で収入を増やそうと国の方針が変わり、ビザの取得が容易になったことが、訪日外国人が激増した最も大きな要因と考えられる。アジア諸国が豊かになったことも大きい。
東京オリンピックのある2020年の4000万人は難しいが、2030年の6000万人は達成できそうだ。受け入れる空港、宿泊施設が足りない。人口減少社会で、訪日外国人が8人来ると、1人の日本人の生活費ができる。観光は平和産業で、テロや戦争がないことを前提としている」と解説された。
2016年の国別訪日外国人は、中国637万人・韓国509万人・台湾417万人・香港184万人で、アジアのシェアは8割を超える。旅行目的は、日本食・ショッピングが人気だが、最近は自然風景・温泉が増えている。
2015年世界の外国人受け入れ数ランキングは、フランス8445万人・アメリカ7751万人・スペイン6825万人・中国5688万人・イタリア5073万人・・日本は1973万人で世界16位と低い。日本は2020年4000万人、2030年6000万人という目標を掲げ、官民挙げて世界のトップ5入りを目指している。
2015年の1人当たりのGDPをみると、香港42294ドルで世界19位、日本32478ドルで世界26位、韓国27221ドルで世界30位、台湾22263ドルで世界36位となっている。GDPが3000ドルを超えると消費が拡大し、高度経済成長によって一気に1万ドルへ駆け上がり、海外への旅行者が増える。3000ドルは、衣食住に必要な最低限のラインで、タイは2006年、中国は2008年、インドネシアは2011年に越えている。
訪日外国人が急激に増え、2016年は2403万人と、出国日本人数1711万人を上回った。増えた要因は、ビザの緩和で入国しやすくなり、アジア諸国が豊かになったことによる。観光立国確立には、国の政策が鍵を握る。