「瀬戸内海モダニズム周遊」と外国人観光客対策
2017年4月20日、ウェスティンホテル大阪で異業種の会があった。
午後6時、大阪府立大学の橋爪紳也観光産業戦略研究所長による講演「瀬戸内海モダニズム周遊を語る」があった。橋爪氏はアイデアマンで、大阪城を背景にオートバイが空を飛ぶモトクロス世界大会Red Bull、大阪城のプロジェクトマッピング、御堂筋でのフェラーリF1マシーンレース、中之島のイルミネーションなど手がけられている。大阪万博誘致構想検討会委員長もされていた。
橋爪紳也氏は「瀬戸内海は新しい言葉で、明治に外国人によって見出された自然美"The Inside Island"から名付けられた。それまでは、播磨灘・備後灘・安芸灘・伊予灘など灘(波が荒く、潮流が速い海)と呼ばれていた。鷲羽山から観た眺めが素晴らしく、瀬戸内海の範囲は、西は広島県福山市鞆の浦から、東は香川県小豆島までを指していた。
宮島が瀬戸内海になったのは、後のことだ。今、JR西日本の佐々木元会長と宮島の観光開発を行っている。阪急電車が宝塚を、京阪電車が枚方パークを観光地にしたように、大阪商船が瀬戸内海観光を開発し、大阪から別府までを瀬戸内海と呼ぶようになった」と話された。
前菜の"かんぱちのカルパッチョ 生姜のコンフィと小さなサラダ添え オニオンヴィネグレットソース"が美味しい。
橋爪氏に、「外国人観光客が2017年の2700万人から、2030年には2倍以上の6000万人になる。成田・関空も一杯で、地方の広島・岡山・新潟・茨城空港も使われているが、どうしたらいいか」と聞くと、「成田と沖縄に滑走路を1本ずつ増やすが、2つ滑走路を増やしても焼け石に水だ。もっと他の地方の空港を使うなど考える必要がある」と答えられた。
私が「一泊20万円以上のホテルが、京都にはリッツカールトン・フォーシーズンズ・星野リゾートなど4つで、250室しかない。自家用ジェットで来るような富裕層を取り込むには、高級ホテルが今の何倍も必要だ。一般のホテルも2倍以上必要になる」と話すと、「その通りで、一泊20万円以上のホテルが日本には少なく、富裕層を取り込めていない。日本の宿は4~5人雑魚寝する所もあり、部屋を洋風に変える必要もある。民泊を利用してもいい」と言われた。
私が「GDPが1人年間3000ドル以上になると、海外旅行者が増える。インドネシアが3000ドルを超えた。ムスリムのため、祈りのための部屋や料理を用意しているホテルもある」と話すと、「もうすぐ東南アジアからの旅行客が、爆発的に増えるだろう。同じムスリムといっても、ゆるい国と厳格な国がある。国によって違うので、それぞれの国に対応した料理を作る必要がある。テロや感染症対策もしなければならない」と言われた。
私が「5か国語が必要だ。ホテルや大阪の大きな病院には、5か国語が話せるスタッフがいる所もある。将来は、12か国語が必要になる」と話すと、「自動翻訳機を使えばいい」と言われた。橋爪紳也氏は、どんな話題に対しても、最近のことをよく知っておられた。
瀬戸内海の自然美は、外国人によって見出され、大阪商船によって観光開発された。訪日外国人数は激増し、2030年には6000万人と今の2倍以上になる。空港滑走路の増加、宿泊ベッド数を増やすなどの対策が必要だ。