「高齢者糖尿病診療ガイドライン2017」と認知症・サルコペニア
2017年5月18~20日、名古屋国際会議場で「第60回日本糖尿病学会(中村二郎会長)」が開催された。
5月17日午後4時、ウェスティンホテル名古屋キャッスルで、評議員会があった。現在の会員数は1万7353名で、昨年の学会出席者数は1万4438名だった。門脇孝理事長は「糖尿病の3人に2人は高齢者だ。日本老年医学会と日本糖尿病学会が合同で、『高齢者糖尿病診療ガイドライン2017』を作成した。今学会で、先行発売する」と話された。
午後8時、懇親会があった。立食形式で、ひつまぶし茶漬け・味噌串カツ・手羽先など食べながら話をした。主催した愛知医大糖尿病内科の医局員は、30人中60%が女性医師だという。女性が活躍する時代になった。
ANAクラウンプラザホテルグランドコート名古屋2405号室に宿泊した。ホテルの朝食バイキングには、ひつまぶし・味噌カツ・手羽先・天むす・きしめん・小倉トーストがあった。名古屋めしは、味付けが濃厚だ。
5月19日午前8時15分、シンポジウム12「高齢者糖尿病治療についてー高齢者糖尿病治療について」があった。
「高齢者糖尿病は低血糖、認知症、うつ、ADL(着衣・移動・入浴・トイレの使用など日常生活動作)の低下、転倒・骨折、サルコペニア(筋肉量低下、かつ筋力低下または身体能力低下)、フレイル(健康と要介護の間の状態で、運動や栄養の介入によって健康に戻すことができる)を起こしやすい。
高齢者糖尿病は低血糖から認知症を起こしやすいため、厳格な血糖コントロールよりも、安全性を重視した適切な血糖コントロールを行う。HbA1c値と大血管症障害や死亡との間にはJカーブ現象がみられ、HbA1c低値にも注意する必要がある。患者に応じ、HbA1cが8.0%未満とすることも許容される。
食事療法の摂取エネルギーは、標準体重1kg当たり25~30kcalを目安とするが、サルコペニア・フレイル・低栄養がある患者では、栄養バランスに配慮した比較的多めのエネルギー摂取が望ましい。
栄養素の割合に関しては、50~60%を炭水化物から摂取し、タンパク質は20%までとし、残りを脂質とするが、25%を超える場合は飽和脂肪酸を減じるなど脂肪酸組成に配慮する。炭水化物の摂取不足や摂取過剰にならないよう注意し、ADL低下・フレイル・サルコペニアの予防には、十分なタンパク質を摂取する。
高齢者糖尿病でも定期的な身体活動、歩行などの運動療法は、代謝異常の改善だけでなく、生命予後、ADLの維持、認知機能低下の抑制にも有効である。高齢者糖尿病におけるレジスタンストレーニングは、腹囲を減らしHbA1cを改善、除脂肪体重と筋力を増やし脂肪量を減らす。
薬物療法で、SU薬やインスリンを使う場合は、重症低血糖や遷延性低血糖にならないよう緩めにコントロールする必要がある(メタボ教室第601段「高齢者糖尿病HbA1c目標値・下限値と認知症」)」という内容だった。
高齢者糖尿病診療では、低血糖・認知症を起こさないため、厳格な血糖コントロールより緩めのコントロールを行う。サルコペニア・フレイル予防には、十分なタンパク質摂取、レジスタンス運動が有用である。