「一人暮らしの高齢者の見守り」と宅配・新聞・行政
2017年7月20日、大阪市北区にあるクラブ関西で、異業種の会があった。
午後6時、木川眞ヤマトホールディングス会長による講演「ヤマトグループが取り組むプロジェクトG~地域活性化に向けた行政連携」があった。ヤマトは、"クロネコヤマトの宅急便"として、よく知られている。
木川眞会長は、「ヤマトホールディングでは"プロジェクトG(ガバメント)"という取り組みをしている。ヤマトは日本に4000か所の支店と20万人の従業員がおり、日本最大のネットワークを持っている。一人暮らしの高齢者の見守りなど、地域の生活支援を地方自治体と一緒になって行っている。
取り組みのきっかけになったのは、2010年岩手県西和賀町の女性社員が、いつも宅配していた高齢者が孤独死したのにショックを受け、何とかしようと思い提案があった。ヤマトの社訓には"まごころ"がある。ヤマトの社員は、まごころを持ってお客様に接している。
限界集落の多い高知県大豊町では町役場と連携し、一人暮らしの高齢者が、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう協力している。
買い物困難者の支援に重点を置いたサービスも開始している。地元商工会と連携し、必要なものを店舗に電話で連絡してもらえば、加入商店に集荷に行き、自宅にお届けする。高齢者宅への配達時にお客様の体調が悪い時は、役場か消防署に連絡している。
過疎地では人と物を同時に運ばないと採算がとれない。トラックに人を乗せてはいけない、タクシーで物を運んではいけない、など多くの規制がネックになっていた。経済産業省・国土交通省・農林水産省とも良好な関係を持って、規制緩和を行ってもらい、解決することができた。
少子化で日本の労働人口は減少しつづけ、宅配便に関わる人の確保が難しくなっている。神奈川県藤沢市で2017年4月から1年間、DeNAと共同で、無人運転とロボットによる宅配の実験を行っている。ロボットだと、24時間宅配を受け付けることができる」と話された。
午後7時20分から懇親会があった。前菜は珍しい"トウモロコシとフォアグラのクロケット"だった。左隣りは新聞社の人で、私が「宅配便の会社が、高齢者の見守りをしているって凄いですね」と話すと、「うちの新聞社は以前から、高齢者宅の見守りをしている。新聞がたまっていると、元気で暮らされているか確かめている」と言われた。
魚料理は"南仏風野菜の煮込みとラングスティーヌを詰めたケンサキイカのポアレ"で、イカの食感がいい。新聞社の人は「田舎にいる母は、携帯電話もスマホも使えず、自宅の固定電話しか使えない。昭和のままで止まっている」と言われる。私は「うちの母も同じだ。固定電話しか使えない」と話した。田舎の高齢者にとって、固定電話で注文・配達してもらえるのは有り難い。肉料理は"薩摩シャモ鶏のロティ 田舎風"だった。
一人暮らしの高齢者の見守りを、宅配業者・新聞社・行政などが行っている。過疎地での高齢者の見守りや買い物困難者への支援を、無人運転とロボットが行う時代が来るのかもしれない。