「バブル:日本迷走の原点」と老後の資産運用
2017年10月19日、大阪市北区で異業種の会があった。
午後6時、著述家 永野健二氏による特別講演「バブル:日本迷走の原点」があった。永野氏は、私と同じ68歳で、1973年京都大学経済学部を卒業。日経新聞証券部の記者として、兜町に20年間におられた。2016年11月新潮社から発行された「バブル1980-1989」はベストセラーとなり、ノンフィクション部門で1位となっている。
永野氏は「2度大病を患い講演できなかったが、1年以上前から頼まれていたので講演に来た」と座って講演をされた。「金融緩和で、お金がじゃぶじゃぶとなり、日経平均株価は2万1400円と3倍になった。不動産価格もバブル期を上回った。現在の日本経済はバブル期と似た空気を感じる。デフレの中のバブルだ。今の新聞記者は、バブル期のことを知らない。私しか知らない30年前のことを話したい。
バブルがはじける2年前、証券会社社長のインタビューをした。社長は『近くバブルがはじけ、株は暴落する』と話されたが、証券会社の部下の人達から『まだ儲かる。記事にしないでくれ』と必死に頼まれ、記事にしなかった。日経新聞社内では、近くバブルがはじけることが共有されていた。新聞はコマーシャルで成り立っているので、記事にするには多くの制約がある。
バブルの原点は、ニクソンショック、オイルショックの頃から始まった。世界がグローバル化する中、日本の金融機関の改革は護送船団方式で遅れた。1980年代のバブルは、日本の銀行が作り出した土地バブルだった。・・・」と話された。
午後7時15分、懇親会があった。左隣りは保守系新聞社、右隣りはリベラル系新聞社の人だった。帆立貝と茸のソテー カボチャのスープ添え
表示、北海道厚岸産・蝦夷鹿股肉のロースト ジン風味のソース
表示を食べながら、永野氏への質疑応答を聴いた。
「10月22日の衆議院選挙はどうなるか」の問いに、永野氏は「与党が圧勝するだろう。日本はものづくりで成長してきた国なのに、安保法制・社会保障・教育のことばかりで、与党も野党も会社・企業のことに全く触れない。もっと、日本の企業に力を入れなくてはならない」と答えられた。
「人生で1番楽しかったのはいつか」の問いに「日経ビジネスの編集長をしていた時が一番楽しかった。日経ビジネスは、コマーシャルのない雑誌なので好きなことが書けた。当時38万部と、日本で最もビッグな経済雑誌だったので、ビルゲイツなど世界の経営者にインタビューすることができた」と答えられた。
翌日、大学時代のクラスメートに「デフレだが、近くバブルがはじけるかもしれない」と話すと、「1万9000円の時に利益が確定したので、株を全部現金に替えた」、「オーストラリア債権を買い、リスクを分散させている」と言う。
銀行OBの友人に聞くと、「30年前と今は状況が違う。都会の不動産はバブル期を上回ったが、地方は低下したままだ。北朝鮮、米国、中国と取り巻く環境が違い、何が起こるかわからない。バブルが近くはじけるとは限らない」と言う。
人は皆、大病を患うと、自分しか知らなかったことを、後世の人に伝えたくなるものかもしれない。バブルはデフレでも起こる可能性がある。老後の資産運用は、リスクを分散していた方がよさそうだ。