高尿酸血症フォーラムと病院平成の大合併
2018年7月28日、台風12号が東から西へ逆行して接近する中、大阪市北区にある"ホテルグランヴィア大阪"で「第14回高尿酸血症・メタボリックシンドロームリサーチフォーラム」が開催され、110名が参加した。
午後2時、一般演題があった。住友病院内分泌代謝科の伊藤慶人らは「過去30年間の当院教育入院患者におけるメタボリックシンドローム(MetS)型糖尿病の頻度変化と血清尿酸値の経年変化」のタイトルで、「MetSを有する群では、男女とも尿酸値は1985年から上昇傾向にあったが、2008年に特定健診が導入され、尿酸値は横ばい傾向からむしろ改善傾向を見せた。MetSを有さない群では、尿酸値は男女とも30年間上昇傾向にあった」と話された。
フロアから私は「47年間、延べ80万人の尿酸値の変化を検討したことがある。先生の結果と同じように、男女とも尿酸値は上昇し、男性は5.8mg/dlから6.1mg/dlに、女性は4.0mg/dlから4.5mg/dlに増加した。男性では肥満者が増えたので尿酸値の増加は肥満で説明できるが、女性では肥満者は増えておらず、女性では肥満以外のアルコールやプリン体が関与しているではないか?」と質問した。
午後4時30分、鳥取大学再生医療学の久留一郎教授による特別講演があった。久留教授は新しく出る"高尿酸血症ガイドライン"の委員をされている。久留教授は「高尿酸血症は、高血圧・腎障害・糖尿病・MetSのリスクとなっている。・・高尿酸血症には減量・運動・アルコールの生活習慣指導が重要だ」と講演された。Newtonライト
表示「肥満と病気のかがく」(2018年7月25日発行)の21ページに、肥満度の増加に伴って高尿酸血症は増加する
表示(徳永他:Int J Obes 1991)ことが載っている。
午後6時から、懇親会があった。病院の合併が話題になった。病院勤務医は「伊丹市にある市立伊丹病院と公立学校共済組合近畿中央病院が合併しそうだ。市立伊丹病院も、近畿中央病院も老朽化し、建て替えの時期になっている。2018年9月末までに合併すると、急性期病床を減らすという条件で、国から補助金が4割出る」と言う。
阪神間には6つの市があり、尼崎市46万人(県立尼崎病院と県立塚口病院)は既に合併し尼崎総合医療センターになり、西宮市49万人(県立西宮病院と市立西宮病院)と川西市16万人(市立川西病院と川西協立病院)の合併は決定し、伊丹市20万人(市立伊丹病院と近畿中央病院)は合併話が進んでいる。宝塚市23万人と芦屋市10万人は、どうするのだろうか。
私立病院長は「大阪のK病院とN病院も合併するという話がある。400床の中規模病院は採算が取れず、600床規模の病院でないと経営が成り立たたなくなっている」と言う。大学病院勤務医は「大都市圏では、各市に市立病院がある必要はなく、市を越えた広域で考えた方がいい。小さな診療科は分散するより、大きなセンター的な公的病院に集中させた方が、無駄がなく効率がよくなる」と言う。
合併して新築された病院は、「新しい施設で、最新の医療が受けられる」と地元住民の評判がいい。市町村の"平成の大合併"など、平成になって銀行・保険会社・製薬会社・百貨店・コンビニなど多くの行政・企業が合併した。中規模病院の平成大合併は、ピークを迎えようとしている。