シルクドゥソレイユ「キュリオス」と好奇心
2018年9月1日、大阪市北区中之島で開催されているシルク・ドゥ・ソレイユ創設30周年記念作品「キュリオス」を、親戚4人で観に行った。
午後4時、リーガロイヤルホテル大阪から、隣接する中之島ビッグトップ
表示へ歩いて行った。テント内に入ると、お土産や飲み物を買う観客
表示で混雑していた。ステージに向かって、やや左のCブロックS席10列14番で観た。会場は満席で、客層は20~60歳代と幅広く、若い女性が多い。
シルク・ドゥ・ソレイユ(太陽のサーカス)は、火喰い芸の大道芸人だったギー・ラリベルテが、1984年にカナダのモントリオールで設立したエンターテインメント集団で、世界中で人気を集めている。ラスベガスで常設されている舞台装置が大掛かりな「カー」や「オー」は切符がなかなか手に入らない。
1955年6月広島県三次市で観た"矢野サーカス
表示"や、1989年2月26日上海市で、寒さに凍えながら細長い板に座って観た"上海雑技団"と異なり、ミュージカル的なものだった。矢野サーカスでは象や空中ブランコ・オートバイが、上海雑技団ではパンダやアクロバットが目玉だったが、キュリオスで動物は一切出てこない。
「キュリオス」は、19世紀産業革命時代がモチーフとなっている。舞台が華やかで、中央にはアンティーク調の歯車、ネジ巻、車輪、電球など19世紀の貴族が世界中から集めたものが飾ってあった。好奇心旺盛な主人公"シーカー"が体験する不思議な世界の大冒険を描いている。
「キュリオス」は好奇心を意味する。好奇心は、医学研究者にとって、最も重要なものだ。卒後7年目の1981年10月、博士号を取得したら開業しようと考えていた時、松澤佑次先生に「徳永君。開業の準備をしているらしいが、もう少し残って研究をつづけないか。徳永君には好奇心があり、研究者に向いている」と言われた。もしあの時開業していたら、私の人生は全く違ったものになっていた。
同じことを、門脇孝日本糖尿病学会理事長(東大3内)が日本糖尿病学会会長講演で「東大3内の先輩・春日雅人先生(前日本糖尿病学会理事長)に、研究者にとって最も重要なのは好奇心だと教わった」と話された。日本肥満学会の松澤佑次3代目理事長、春日雅人5代目理事長、門脇孝6代目理事長は、好奇心を研究者の最も重要なものと考えられている。
午後7時20分、リーガロイヤルホテル大阪地下1階にある「竹葉亭」で食事
表示をした。竹葉亭の鰻
表示は、東京風の白焼きで、関西風に比べあっさりしている。
阪大病院研修医1年目、中之島の阪大病院近くにあった竹葉亭で、"お見合い"をしたことがある。阪大病院院長室に呼ばれ、何かあったのかと恐る恐る院長室に行くと、お見合いの話だった。もしあの時結婚していたら、私の人生は全く違ったものになっていただろう。
「シルク・ドゥ・ソレイユ」は、従来のサーカスの概念を覆し、ストーリー性のあるものだった。題目の「キュリオス」は、好奇心をテーマにしていた。肥満研究者や糖尿病研究者にとって、最も重要なものは好奇心だ。人生は、いつ何が起こるかわからない。認知能の低下や2足歩行の障害が来る前に、好奇心を持って人生を満喫しておこう。