第28回日本乳癌検診学会と乳がん義務教育
2018年11月23~24日、大阪国際会議場で「第28回日本乳癌検診学会(古川順康会長)」が開催され、予定を500人上回る1800名が参加した。
11月23日午前8時50分、古川順康会長は「乳がん検診は視触診単独から始まり、2000年からマンモグラフィ(MMG)併用検診、2016年からはMMG単独検診となり全国で展開されている。しかし、乳がんの罹患は増加し続け、最終目標の死亡も減少せず増えている」と挨拶された。古川先生には、毎週お世話になっており、私の施設から医師2名、女性放射線技師4名、事務1名の7名が参加した。
午後12時50分、会長講演「乳がん検診にたずさわって」があった。古川順康会長
表示は「乳がんは、早期発見すれば治る病気になっている。5大癌のうち、乳がんだけが自分でも見つけることができる。医師による触診より、本人自身で触った方が、腫瘤を早く見つけることができる。今年から生活習慣病と癌についての教育が、義務教育の段階から取り入れられている」と話された。
午後1時30分、パネルディスカッション2「視触診の廃止による変化」があった。乳がん検診は、医師不足がネックになって増えていなかった。医師による視触診を2016年に廃止し、MMGだけでよくなり、一気に増加している。
午後3時、マンモグラフィ技術セミナーの会場は超満員
表示で、ドアを開けて廊下も人で一杯になる盛況になっていた。ポスター会場
表示には、広島県三次中央病院や島根県浜田医療センターのポスターがあった。地方でも、乳がん検診に取り組まれている。
11月24日午前11時50分、「全員総会」があった。古川順康会長は「会員は4332名で、医師2592名、放射線技師1302名、検査技師302名となっている」と報告された。友人は「検査技師が少ないのは、乳腺エコー検査で乳がん死亡率が減少することが証明されておらず、乳がん検診に認められていないからだ」と言う。
午後1時30分、「全国集計報告」があった。フロアから「入札制になって、少しでも安い価格の検診施設が入札しており、"安かろう、悪かろう"になっている。精度管理の悪い所の受診者が増え、精度管理がしっかりしている施設が影響を受けている。どこの施設が信頼できるか、わかるようにしてほしい」と要望があった。
友人は「検診施設の中には、2次読影をしていない所がある。紹介状の中に返信用の封筒を入れず、フィードバックしていない所も多い」と言う。検診の精度を保とうとするには、最低限の金額が必要だ。自動車や電気製品のように同じ品質であれば、値切れば値切るほど得になるが、一定基準以下の安い検診は、その分どこかで手を抜き、精度が悪くなる。
国立がん研究センターの2018年9月の報告によると、乳がんの3年生存率は95.2%で、ステージ別にみるとステージ1(早期がん)100.0%に対し、ステージ4(他臓器の転移)では54.4%となっている。いかに、早期発見・早期治療が重要かということがわかる。
乳がんは、自分で見つけることができる癌だ。2018年から、乳がんについての義務教育が始まった。若い時期から正しい乳がん知識を学ぶことにより、乳がん死亡が減少することが期待される。