阪大内分泌代謝内科同窓会と市立病院経営
2019年4月13日、大阪市北区にあるリーガロイヤルホテル大阪で「大阪大学内分泌代謝内科同窓会」が開催され、200名が出席した。
午後4時30分、総会があり24名の新入会員が紹介された。下村伊一郎会長は「2009年4月1日に内分泌代謝内科ができて以来、ちょうど10年が経ち、同窓会員数は518名となった。この1年で英語論文は40編、学会は120題発表した」と挨拶された。
午後5時15分、順天堂大学代謝内分泌内科の綿田裕孝教授による講演「順天堂大学代謝内分泌内科、日日是好日」があった。綿田教授は阪大平成2年卒で、阪大1内の河盛隆造先生の研究室におられた。綿田教授は、日本糖尿病学会のガイドライン"食事療法"の責任者をされている。
綿田教授は、「1994年河盛隆造先生が順天堂大学教授に就任された時は5名だったが、現在は56名(有給17名、院生14名、非常勤25名)となっている。代謝内分泌内科の外来は4診で、月曜から土曜日まで午前午後行い、1日平均261人を診察している。半分が糖尿病、4分の1が甲状腺疾患となっている。
順天堂大学には御茶ノ水の本院を含め4つの病院があり、3500人が入院しており、1日1万2000人の外来がある。収入は1500億円、利益は100億円で、病床稼働率は97.9%だ。これはすごい数字で、午前中退院・午後入院で火曜~木曜の病床利用率は105%となっている」と話された。
午後6時から懇親会があり、綿田教授に「雑誌"Newton"の原稿の校正をしている。理想的な栄養素の配分を、日本肥満学会のガイドライン2016では『糖質50~60%、脂質20~25%、タンパク質15~20%』としているが、日本糖尿病学会はどうするのか?」と聞くと、「新しいガイドラインの栄養素の配分は、これまでと大きく違ったものになる。糖質の配分は下限を決め、個人個人に合わせて、幅の広いものになるだろう」と答えられた。糖尿病専門医の後輩女医は、「極端な糖質制限食をした有名な人は、早死にしたんでしょ」と言う。糖質もビタミンも、多すぎても少なすぎてもよくない。
市立病院の経営が話題になった。大阪府内と兵庫県阪神地区のほとんどの市立病院は、阪大医学部の関連病院となっている。市立K病院は、4月1日から民間病院の運営になった。職員の給与は20%カットとなり、看護師は190名のうち100名が残留、90名が辞職、医師は36名のうち32名が残留している。
「市立I病院の平均給与は、医師1200万円、看護師700万円(平均年齢33歳)だ」、「市立N病院の看護師の平均給与は830万円(平均年齢43歳)と高い」、「市立S病院は、他の病院と合併し、S科の医師10名全員が辞職した」と言う。
「財政が厳しい市が増えている。市長は、赤字体質の市立病院を買い取ってくれる民間病院を捜しているが、なかなか見つからない」、「市立病院の半数近くは、なくなるのではないか」などの意見もあった。
市立病院の多くが赤字経営に苦しんでいる。昭和30年代、市の財政が豊かだったころ、次々と市立病院が開設された。現在、市の財政は厳しくなり、市の経営を圧迫する市立病院への補助金が、年々削減されている。都市部では、国立・府立・県立の医療センターや民間病院の高度医療・救急医療が充実してきており、都市部の市立病院の多くは役割を終えているのかもしれない。