米国経済の長期展望とIoT医療市場
2019年6月20日、大阪市北区堂島浜にある"中央電気倶楽部"で、「異業種の会」があった。
午後6時、エース証券の佐々木英俊資産管理企画部長による講演「米国経済の長期展望と宇宙ビジネス最新動向」があった。
佐々木氏は「株価の変動は、トレンドとサイクルがあり、サイクルは政治家の発言などによる一時的なもので、長期的なトレンドが重要だ。米国の株価は、120年間上昇しつづけている。このような国は、他にない。日本の年金の運用の55%はアメリカの株で、アメリカ以外は45%となっている。
世界のトレンドは2つあり、第4次産業革命と高齢化だ。第4次産業革命は、1995年のIT革命から始まっている。ビッグデータ・IoT・AI(人工知能)・5G(次世代高速通信)が同時並行で進んでいる。これらは米国主導で進んでいるが、5Gだけは中国が進んでいる。もし5Gが中国主導になれば、オセロゲームのように4つ全てを中国が握ることになるかもしれない。米国は、中国覇権の阻止に動くだろう。
世界各国で高齢化が進んでいる。65歳以上の比率は、日本は延びつづけ2050年には38%となる。米国は、2030年で高齢化が止まり、2050年で22%にとどまる。これは、米国が世界一多くの移民を受け入れているからだ。2017年の移民数ランキングでは、1位は米国で、日本は26位となっている。トランプ大統領は、移民を拒否しているかのようにメディアは報道しているが、不法移民を受け入れていないだけだ。米国は、若い移民を増やし、生産年齢人口を増やし、経済成長をさせつづけている」と話された。生産年齢人口が減ると国力が落ちる。日本が経済成長をするためには、多くの若い移民を受けいれ、生産年齢人口を増やし、高齢者比率を下げるしかないのかもしれない。
また、佐々木英俊氏は、医療・宇宙分野について、「世界のIoT医療市場が、急拡大している。AI画像診断、薬を飲まない患者のIoT服薬管理、遠隔医療、ウェアラブル機器(血圧・脈拍・血糖・歩数など測定する着用できる機器)などがあり、IoT医療市場は2017年4.4兆円で、5年後は4倍の16.9兆円になると予測されている。
医療と機器の融合した"デジタルヘルスケア"は、2000年の手術ロボ"ダ・ヴィンチ"から始まり、2016年IBMが難病診断、2018年エムスリーがAI画像診断、2019年NTTドコモが5G救急搬送試験を行っている。
新しい宇宙ビジネスが、世界中で起きている。38兆円超の市場規模で、2050年代には100兆円市場になると予測されている。インターネットの歴史と宇宙開発の歴史はよく似ている。インターネットが始まった1969年に、アポロが月面着陸した。1995年米マイクロソフト社のOS、Windows95でインターネットが一気に普及した。2000年米アマゾン創業者のジェフペゾスが有人宇宙飛行を目的とした会社を設立した。2019年、モバイル・クラウド・ビッグデータ・IoT・AI・5Gの開発が進んでいる。宇宙開発は、米国ではアルテミス計画・宇宙軍創設が、中国では"一帯一路一空一天"が進んでいる」と話された。
米国経済は、多くの若い移民を受け入れ、生産年齢人口を増やすことで、成長しつづけている。世界のIoT医療市場、宇宙ビジネス市場は、インターネットの発達で、急速に拡大している。