国循病診連携と最新医療・医師の探求心
2019年7月20日、大阪府吹田市岸辺にある"国立循環器病研究センター
表示"で、「第33回国立循環器病センター 循環器病談話会」があり、130名が出席した。
午後12時30分、職場の医師3人でJR岸辺駅北側に直結するVIERRA岸辺健都にある"キッチンKENTO"に行った。国循認定の"かるしお定食
表示"は、メイン料理・小鉢8種・健康サラダ・スープ・雑穀米で、600kcal・塩分2gだが、しっかりと味付けされており、満腹感も得られた。
午後1時30分、今月(2019年7月1日)吹田市北千里から岸辺に移転したばかりの国循の3階にある会場に行った。国循は、全国で唯一の国立の循環器病センターで、ここ大阪にしかない。吹田市医師会の川西克幸会長をはじめ、よく知った医師会の高齢の先生方が多く、阪大のクラスメートも2人来ていた。
小川久雄国循理事長は「国循は、ガンマナイフ・ハイブリッド手術室など最新の医療機器・設備をそなえ、先端医療を行なっている。昨日も、徳島からヘリコプターで患者さんが搬送されてきた。救急も365日24時間対応しており、敷居を低くしているので、気軽に紹介して下さい」と開会の挨拶をされた。昨年、職場でフレッシュな心筋梗塞が発症し、すぐに国循に紹介して救命してもらった。
吉村荘平脳血管内科医長は「脳内科部門の病診連携について」のタイトルで、「国循には、神経内科専門医が30名在籍している。国循SCU(脳卒中ケアユニット)は、年間1500例の入院がある。静脈血栓療法(t-PA静注)は、発症3時間以内が適応だったが、2012年から4時間30分に適応が延長された。発症時刻が4時間30分以内かどうかは、MRIの拡散強調画像とFRAIR画像の差でわかる。"顔・腕・言葉"に異常があれば、紹介状は簡単でいいので、すぐに受診させて下さい。
2014年、ステント型血栓回収機器が承認され、機械的血栓回収療法(血管内治療)の併用も行っている。脳梗塞発症8時間以内に治療すると、後遺症を軽減することができる。2018年は、89例施行した」と話された。国循のある吹田市は、日本一急性期脳卒中死亡率が低い市になっている。
藤田知之心臓外科部長は「拡大する心臓手術適応」のタイトルで、「高齢化社会では弁膜症、特に大動脈弁膜症疾患が増加する。2013年に始まったTAVR(経カテーテル的大動脈弁置換術)が爆発的に増え、2019年3月現在、1万9228例が日本で施行されている。
重症大動脈弁狭窄症の5年生存率は22%で、手術をすると68%と、圧倒的に手術した方がよい。TAVRによる1か月以内の手術死亡率は10%だったが、現在は5%と低くなっている。僧帽弁手術は、ダヴィンチ僧帽弁形成術を行なっている。形成術の方が、置換術に比べ、手術死亡率が低くて長期合併症が少なく、ワーファリンを内服しなくてもよい。
人工心臓の開発競争が、各メーカーで激しさを増している。日本では心臓移植が少なく、3年間待つ間に亡くなられることも多い。人工心臓は1840万円と高いが、人工心臓の使用は増えるだろう」と話された。
国立循環器病研究センター談話会では、脳梗塞や心弁膜症などの最新医療を知ることができた。出席者は、私より高齢の診療所の方が多く、医師は何歳になっても探求心が強いと感じた。