アブラヤ会ー山本章先生を偲んで
2019年8月31日、大阪市北区にあるリーガロイヤルホテルで「令和元年度アブラヤ会ー山本章先生を偲んで」が開催され、34名が出席した。
アブラヤ会(メタボ教室第705段「アブラヤ会」)は、阪大2内脂質研究室の現役とOBとの会で、山本章先生(写真
表示左)はアブラヤ会2代目会長をされていた。1泊2日で親睦を深め、私は研修医時代の"武田尾温泉紅葉館でのアブラヤ会"から40年以上出席している。今回は、山本章先生(メタボ教室第719段「スタチン育ての親」)を偲んで、山本先生の奥さんと娘さんが出席された。
午後5時、アブラヤ会会長の松澤佑次元阪大2内教授は「山本章先生は今年1月、自分が研究されていた動脈硬化性疾患で急逝された。コレステロール低下薬のスタチンも、山本先生が自身で服用されていなかったら、世に出なかったかもしれない。"動脈硬化性疾患の人は、HDLコレステロールが低い"ことを、世界に先駆けて発見されたのも山本章先生だ」と挨拶された。
前菜は、"帆立貝柱と野菜のマリネ トマト風味 表示"、魚料理は"サクサク衣の甘鯛ポワレ ヘーゼルナッツオイルとバルサミコ風味"、肉料理は"牛ロース肉のシャリアピンステーキ じゃがいものパイヤソン添え"だった。健康が一番、洋食を食べることができるのは、幸せなことだ。
卒業年の古い人から順に、想い出を語った。
私は「山本章先生が東京の学会で、スタチンの臨床効果を世界で最初に発表された時、"スタチンはペニシリンに匹敵する薬で、ノーベル賞を受賞してもおかしくない薬だ"と私たちに言われた。
研修医の頃、山本章先生から新年会に呼ばれ、近鉄南大阪線の高鷲にある山本先生のお宅に、石川勝憲先生、三杉進先生(写真
表示右:故石川先生、中央:故三杉先生)、首藤弘史先生(写真
表示最前列右から5人目、その左は山本章先生)といっしょに行った。奥さんに、手料理を作っていただいた。
山本章先生は"いい英語論文をいくら書いても、天下は取れない"と言われ、学会を重視されていた。河口湖カンファレンス、富山での脂質生化学研究会、岐阜での臨床代謝学会・消化器病学会、松山での肥満症研究会、広島での内分泌学会、東京での内科学会・成人病学会・動脈硬化学会・糖尿病学会など、毎月のように学会に行った。
学会発表の指導も受けた。山本章先生は"会場には目の不自由な人も、耳の不自由な人もいる。スライドは大きな字で、点や線は必要最低限に、スライドを見るだけで内容が分かるように。『結果は、スライドのとおりです』などと言ってはならない。目の不自由な人には、何のことかさっぱりわからない"」と教えられた。私は、山本先生の言われたことを守り、耳が聞こえ難い人でも、視力が衰えた人でも内容が分かるように、学会発表や講演を行なうよう心掛けている」と話した。
下村伊一郎阪大教授は「私の留学先のゴールドスタインとブラウン(ノーベル賞受賞者)は、"山本章博士は、世界的な臨床研究者だ"と絶賛されていた」と話された。
アブラヤ会のメンバーから、日本動脈硬化学会理事長、日本肥満学会理事長、国際動脈硬化学会理事長を排出し、「アブラヤ会が天下を取る」という山本章先生の願いは叶った。