過疎地の医療・自動運転と世耕弘成大臣
2020年1月22~24日、帝国ホテル東京で「全国経営者大会(鳥越孝理事長)」が開催され、友人4人で参加した。
1月23日午後5時35分、世耕弘成(ひろしげ)参議院自民党幹事長・前経済産業大臣による特別講演「令和の時代ー日本の進むべき道」があった。
世耕氏は「昨年の参議院選では、地元の和歌山には1日しか入らず、30都道府県で応援演説を行なった。地方創生の話をしたが、ほとんど反応がない。
地方に行った時、高齢の女性に"何か要望はないか"聞いたところ、"病院が近くにない。バスを乗り継ぎ片道2時間かけて病院に行き、1時間待って薬を貰っている。喘息で、たいした病気ではなく、診てくれるのは若いインターンのような先生で、喘息のことは私の方がよく知っている。病気になった時、不安だ"と言われた。
過疎地で高齢女性に聞いたところ"私の集落は10軒で、そのうち8軒は80歳以上だ。私は80歳で、私が車を運転してみんなの世話をしている。私が90歳になり、運転できなくなって、誰も世話をする人がいなくなったらと思うと、不安でしょうがない"と言われた。
中国のある保険会社は、6億人もの人が契約している。スマホの画面で、本物の医師が診察し、30分後にはオートバイで薬を届けてくれる。ドローンを使って、薬を届けることもできる。5Gになると、過疎地の病院でも、100km、500km離れた都会にいる名医が、ロボットを使って手術ができる時代になる。
自動運転は、都会ではできない。はっきり言って、倫理的に無理だ。ブレーキが故障した時、正面に壁、右に80歳の高齢者、左に10人の小学生がいた場合、ハンドルをどちらにまわしていいか、自動運転では判断できない。過疎地は一本道で、行くところもスーパー・病院・介護施設など限られている。過疎地での自動運転は、近いうちに実現するだろう。
経産大臣は、官僚が出したものを選択したり承認したりする仕事で、自分で政策案を出すところではない。幹事長は、自分で自由にアイデアを出すことができるので楽しい。都会でも、孤独死が増えている。"不安に寄り添う勉強会"を立ち上げた。
ここにおられる地方の経営者の皆さんは、地方のことをよく知っておられる。行政だけで地域を守っていくのは難しい。官民一体となって、地方の人達が安心して暮らせる社会にしましょう」と講演された。
講演後、講師控え室に行き、世耕弘成氏と名刺交換した。「阪大第2内科の徳永です。阪大2内では、田辺高校(和歌山県)出身の松澤佑次教授や下村伊一郎教授と一緒に研究していました」と挨拶すると、「知っています」と答えられた。松澤佑次先生は、南方熊楠、がんこ寿司の社長とともに田辺市の3大有名人になっている。「私は広島県庄原市(国民皆保険制度を作った永山忠則自治大臣の地元)の出身です。広島県は北海道に次いで2番目に無医地区が多い。過疎地の医療をよろしくお願いします」と要望した。
世耕弘成前経産大臣の講演の大半が、"過疎地の医療と自動運転"だったのは意外だった。過疎地の不安を解消するためには、「過疎地では対面しなくても医師がスマホで診療できるという医師法の改正、過疎地での自動運転の法整備」が必要だ。