映画「パラサイト」と格差社会・嫉妬心
2020年2月15日、韓国映画「パラサイト 半地下の家族」を観に行った。
午後3時、館内はほぼ満席で、30~60歳の男性やカップルが多い。子供はおらず、高齢者も少ない。パラサイトは2020年2月9日、第92回アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞の最多4部門を受賞した。監督・脚本はポン・ジュノで、アジア映画としては初めての作品賞受賞だ。
「貧しいキム一家は全員失業中で、半地下と呼ばれる狭くて不潔な所に住んでいる。長男ギウは、ふとしたことでIT企業CEOのパク氏の娘の家庭教師となる。ギウの妹ギジョンも、パク氏の息子に美術を教えることになる。そして、ギウの父は運転手として、母は家政婦として、超裕福なパク家に寄生して行く」。
半地下は、北朝鮮のミサイル攻撃に備えて地下に作った部屋で、窓から地上を歩く人の足が見える。トイレが部屋の上にあり、大雨が降ると便器から黒い汚水が湧き出してくる。韓国の貧困層が住むという、臭くて汚い半地下を、映像で初めて知った。
2013年5月24日、南カリフォルニア大学(USC)同窓会ソウル
表示が、ハイアットホテル
表示で開催された(メタボ教室第482段「USC同窓会ソウル」)。故チョー大韓航空CEO(韓国の財閥・韓進グループ会長)は、USC経営学部出身で、USC同窓会では毎回、1000万円(10万ドル)を寄付されていた。ナッツ姫の父として有名になっている。韓国の格差社会の程度は日本の比ではなく、超富裕層が問題を起こすと、容赦なく叩かれる。
ハイアットホテルで食事に行くと、定食は1万8000円と2万5000円の2種類しかなかった。ホテルは山の上にあり、近くにはサムスン会長宅など豪邸ばかりで食べる所はない。仕方なくビビンバを食べたが、日本の10倍近い6800円と高かった。
レストランの客の半数は、映画パラサイトに出てくるような4人家族(30歳代の夫婦と小中学生)で、一家で夕食代が7~10万円はする。"日本と比べ、韓国には若い超富裕層が多い"と、私は少し嫉妬した。
嫉妬心は、誰の心の中にもある普遍的なもので、幼い頃から備わっている。一方の子だけ写真を撮ると、すぐに気付かれて、自分も撮るよう要求して来る。
小学時代
表示から小説をたくさん読んでいた私は"見た目は子供だが、大人の心"を持っていた。テレビで「子供の心は純真だ」などと話している大人を見ると、「そんなことはない。子供ほど残酷で、嫉妬心を露骨に表に出すものはいない」と思っていた。
中学時代
表示は、裕福な家庭に育った私に、同級生や上級生の嫉妬の目が注がれているのを、ひしひしと感じた。医師の家庭で育ったクラスメートは「嫉妬されるのは、裕福な家庭の子の宿命だ」と慰めてくれた。池田勇人総理大臣の奥さんも、広島県の田舎にある病院長の娘で、嫉妬されていた。
映画「パラサイトは」は韓国の格差社会など社会的問題と、嫉妬心など人間が持つ心の問題を、パロディとサスペンスを取り入れながら見事に描いている。善良で優しい裕福な家庭が、何の落ち度もないのに嵌められて行く。映画を観て、超格差社会における貧困層の富裕層に対する嫉妬心は、想像以上に怖いと感じた。過度の嫉妬心は、相手も自分も不幸にする。