新型コロナパンデミックと自粛社会
2020年3月28日、安倍晋三首相による「新型コロナウイルスの感染拡大」に関する記者会見があった。
午後6時、安倍首相は「国内の感染状況は欧米と異なり、ギリギリ持ちこたえているが、気を緩めるといつ急拡大してもおかしくない。長期戦を覚悟する必要がある」と、自治体などによる外出自粛・イベント自粛要請に応じるよう求めた。
新型コロナウイルスの世界的拡大が止まらない。中国から、ヨーロッパ、アメリカへと移り、イタリアなどでは医療崩壊に陥っている。3月28日現在の世界の感染者数は60万1478人で、アメリカ10万4837人、イタリア8万6498人、中国8万1948人、スペイン6万5719人、ドイツ5万3340人、死亡者数は世界で2万7862人となっている。
日本の感染者数は1535人で、東京363人、大阪176人、北海道172人、愛知164人、兵庫126人で、死亡者数は53人となっている。
世界保健機関WHOのテドロス事務局長は3月26日「何も対策を講じなければ、死亡者数は数100万人に達する」と警告した。
テレビでは「5年前、ビルゲイツが"人類にとって最大の脅威は、ミサイルではなくウイルスだ"と言っていた」と放送している。2007年10月20日、東京の日本都市センターホテルで日本肥満学会が開催された時、肥満学会理事が「人類にとって最も恐いのは、癌でも動脈硬化でもなく、ペストのような疫病だ」と言われたことを想い出した。その時は、"まさか、私が生きている間に、世界を恐怖に陥れるパンデミックが起きる"とは夢にも思わなかった。
基幹病院に勤務する阪大2内の後輩たちは、N95 マスク・ゴーグル・長袖ガウンの重装備で、新型コロナウイルスと闘っている。自粛・自粛で、今月予定していた研究会5つと、懇親会3つが中止になった。昨日3月27日から9日間、横浜から新幹線で帰省するはずだった7歳と4歳の孫も、新型コロナのパンデミックで来なくなり、淋しい日がつづく。
新型コロナウイルスは未知の部分が多く、予測不能なウイルスだ。中国7万2314人の解析では、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の81%は軽症で、重症は14%、重篤は5%。致死率は全体で2.3%、70歳代は8%、80歳以上は14.8%となっている。高齢者や心疾患・糖尿病・肺疾患・高血圧・癌など持病を持つ人は重症化しやすい(中国CDC)。
3月27日、吉村洋文大阪府知事は「大阪府では新型ウイルスによる感染が過去最大の20名に増加した。今週末は不要不急の外出を控えるよう」求めた。井戸俊三兵庫県知事も「4月7日まで大阪府に行かないよう」自粛を求めたので、3連休と同様に、この土日も兵庫県にとどまった。平日は、大阪で勤務しているので、兵庫県から大阪府へ通っている。
新型コロナウイルスのワクチンや効果的な治療薬ができるまで、1年から1年半はかかるだろう。"これからの1~2年、いつ感染して重症化し死亡してもおかしくない"と思うと、重い気持ちになる。
新型コロナウイルスの感染増加で、東京や大阪などの大都市圏でオーバーシュート(感染者の爆発的増加)が懸念されている。外出自粛がつづくと、高齢者の足腰が弱り、認知症も増えるだろう。一刻も早いワクチンと治療薬の開発が待たれる。