コロナ対策と「本庶佑3つの提言」
2020年4月10日、東京都の小池百合子都知事は「新型コロナウイルスに対し、休業を要請する遊興施設や商業施設の具体的な業種」を発表した。
休業要請の期間は、4月11日から大型連休最終日の5月6日で、遊興施設(キャバレー・ナイトクラブ・バー・ネットカフェ・カラオケボックス・ライブハウスなど)、大学・学習塾、運動・遊技施設(ボウリング場・スポーツクラブ・マージャン店・パチンコ店・ゲームセンターなど)、劇場(劇場・映画館・演芸場)、集会・展示施設、商業施設(生活必需物資以外の店舗)が対象となっている。
4月10日現在の新型コロナウイルス感染者は6867人(+616人)、死者は133人(+14人)となっている。緊急事態宣言の対象地域となった7都府県は、東京1705人(+189)・大阪696人(+80)・神奈川437人(+56)・千葉388人(+33)・埼玉337人(+53)・兵庫316人(+29)・福岡289人(+39)と増加しつづけている。
4月11日午前8時、Yテレビ「ウェークアップ!ぷらす」の中で、ノーベル賞を受賞した本庶佑京大特別教授は、①感染者を調べるPCR検査の大幅増、②大都市圏(東京・大阪・名古屋圏)の1か月の完全外出自粛➡医療崩壊を防止、③諸外国で有効性が示されている治験薬の早期導入(アビガン・アクテムラなど)、の3つの緊急提言をされた。
本庶佑教授は「世界の人が不安に思っているのは死亡率が5%超と多いことだ。インフルエンザは0.1%ぐらいだ。多くの医療者が不思議に思っていることは、最後の所で、免疫不全であっという間に亡くなってしまう。このメカニズムをきちんと解明して、治療薬をみつけ、現場に投入する。これを完結させることがコロナの制圧になる。ここに研究費の手当てをしていただきたい。
政府はワクチンのことを盛んに言っているが、このタイプのウイルスのワクチンは非常にでき難い。何10年もかかっているが、ほとんど有効なものはできていない。製薬会社も、ここに大規模投資してもリターンがない。
治療は、早期の増殖を抑えるアビガン、最後の免疫不全の異常な病態を抑えるアクテムラ(IL-6を抑えるトシリズマブ)がある。非常に大きな免疫反応の変化が起こるサイトカインストームが、このウイルスの特徴で、世界中の研究者が問題にしている。
治験をやりながら病態を解明して、短期間で収束させることが重要だ。アビガン(富山化学)やアクテムラ(中外製薬)は、日本で創薬されているので、政府は"もっともっと現場で使ってみる"という指針を出すとよい。
トランプ大統領は、新型コロナウイルスの研究費に30億ドル(3253億円)を投入すると発表した。安倍総理は108兆円の対策をするとしているが、研究費に出すとは言っていない。研究者に出すとよい。日本も緊急研究費として少なくとも100億円を投入し、全国の研究者が一丸となって病態解明・治療薬開発をすると、大きな結果が出ると信じている」と話された。
新型コロナウイルスで、医療現場は医療従事者が過重労働となり、マスク・ガウンなどが不足し、医療崩壊寸前になっている。メディアは経済補償のことを多く取り上げているが、国は研究者に多額の研究費を投入し、迅速に治療法を開発することが、医療崩壊を防いで、一番の経済対策にもなる。