新型コロナと医療崩壊・緊急事態宣言

2020年4月 4日

    202043日、厚生労働省は「新型コロナウイルスの感染の拡大状況に応じ、軽症者や症状がない感染者について、ホテルや自宅などの療養を検討するよう都道府県などに通達した」と発表した。

阪大2内の後輩医師たちは、3週間前から「コロナウイルス感染者は、感染症法に基づき、無症状でも原則入院している。このままでは、感染病床が満床になる。2類感染症から変えて、無症状や軽症患者は一般病棟か自宅療養に移さないといけない」と訴えていたが、ようやく実現した。

2月末、後輩医師は「PCR検査の感度は、50%(3070%)とよくない。コロナウイルスはDNAでなくRNAなので壊れやすく、テクニックが必要で、ウイルスのある場所から採取しないと陽性にならない。1回陰性になっても半分の人はウイルスが残っており、2回陰性になっても4分の1の人はウイルスが残っている。このことは、タブーになっている」と言っていた。

ワイドショーを見ていると、PCR検査について的外れな議論をしている。テレビを観ている人は、PCRが陰性だと、100%コロナウイルスは無いと勘違いする。3月中旬、尾身茂新型コロナウイルス感染症対策専門家会議副座長が「PCR検査は絶対ではない。5070%の感度だ」と記者会見で答えられていた。その通りで、ウイルス検査は偽陰性(本当はウイルスがいても検査では出てこない)や偽陽性がある程度の割合で出てくる。

大学時代のクラスメートは「日本が欧米諸国に比べコロナ感染者が少ないのは、マスク文化があるのと、BCGを接種している人がいるからだ。BCGを接種すると細胞免疫ができる。結核予防に効果がないとBCGをしなかったイタリア・スペイン・フランス・ドイツではコロナ感染者が多く、BCGをしたポルトガル・日本・韓国は少ない」と言う。

米国ジョンズ・ホプキンス大学の集計が、WHOとも連携しており、最も信頼できる。43日夜現在、新型コロナウイルス患者数は1033478人で、スペイン117710人・イタリア115242人・ドイツ85013人・フランスは59929人と多い。ポルトガル9034人・韓国162人・日本は3070人と少ないが、日本がいつ感染爆発(オーバーシュート)してもおかしくない。

3月初旬から、「キャバクラが危ない」、・・、「北新地のクラブが危ない」などの情報が入るようになった。330日、小池百合子東京都知事は「若者はカラオケやライブ、大人はバーやクラブなど接待を伴う飲食店への出入りを当面自粛するよう」要請した。現場の医師が感じてから、半月~1か月後に行政やメディアが取り上げるようになっている。

後輩医師たちは、10日前から「大阪府の病院は感染病床を増やしているが、感染爆発でいつ医療崩壊が起こってもおかしくない」と新型コロナ緊急事態宣言が出ることを望んでいる。銀行OBの友人に聞くと「331日までに出すと、会社の決算に関わるので、経済界が反対している。4月になったら出るだろう」と予想していたが、未だに緊急事態宣言が出てこない。

大阪府は3日、過去最高の35人の感染者を確認した。東京都知事、大阪府知事、日本医師会も「一刻も早い"緊急事態宣言"を望む」と表明している。医療崩壊を起こさないためには、緊急事態宣言が必要だ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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