看護師不足と学生支援緊急給付金
2020年5月21日、3日ぶりに大阪にある職場に出勤した。
私が「今日の電車の混み具合はどうだったか」聞くと、看護師さんは「通勤客が増えてきて、コロナ前の満員電車だったころの半分ぐらいになっている。コロナでナースが危険な職業だというイメージがつき、ナース志望者が減るのではないか。学費を払うのが大変で、私立大学看護学部を退学しようかと悩んでいる学生もいる」と言う。
私は「医師も同じだ。医師が危険な職業だということがわかり、優秀な学生が医学部志望から工学部・理学部志望に変わるかもしれない。もっともその方が、技術立国を目指す日本にとってよいことかもしれない。
日本の学生の20%が、退学を考えている。私立大学看護学部の学費(授業料・実習費・施設費)は年間160万円で、文科系の学費100万円に比べ高く、バイトで得た収入で学費を払っている学生も多い。これから看護学部の退学者が増えるかもしれない。
これまで、いくつかの大学から看護学部教授の打診があった。15年前は、大学の看護学部長から直接電話があり、"看護学部教授になって欲しい。先生のような知名度があり、野心のない先生に来てもらいたい。学長を狙うような野心のある先生だと困る"と言われたことがある」と話をした。
午後0時、食事に出た。今日、緊急事態宣言解除が発表されるとあってか、3日前より混んできている飲食店が多い。カウンターがアクリル板で仕切られている店、満員になっている店、行列になっている店もある。イタリアンレストランで、ランチ(スープ・ポークソティー・ライス・コーヒー)を食べた。隣のテーブルは空席で、2メートルのソーシャルディスタンスは保たれている。
5月19日午前11時、萩生田光一文科大臣は「アルバイト収入の激変等により、困難に直面している学生の学びの継続のための"学生支援緊急給付金"を創設することを、予備費を活用して創設することを決定した」と会見された。
1人あたり10万円、住民税非課税世帯の学生には20万円が給付される。対象となるのは43万人で、国公私立大学(大学院を含む)・短大・高専・専門学校の学生のうち、今回の新型コロナウイルス拡大による影響でアルバイト収入が大幅に減少し、修学が困難になっているものだ。支給総額は530億円で、2020年度一般会計支出予備費から拠出される。
今回の支援策を受けて、学生団体は緊急会見を開き、「すべての大学生・短大生・専門学生・院生の10人に1人に過ぎず、対象が狭すぎる。親の収入が減ったことなどで5人に1人が退学を考えている」、「大学に入ったことを後悔している人がいる。10万円、20万円もらったところで何になるんだと。費用対効果は非常に薄いと思う」とし、学生の実態にあった支援として"一律学費半額"を求めている。
大阪・兵庫・京都など関西の私立大学看護学部の学費は年間160万円の所が多く、月にすると約13万円になる。大学の看護学部では、バイトで学費・生活費を稼いでいる学生も多い。1回きりの10万円は、1カ月の授業料にも足りない。経済を回しバイト先を増やすか、学生支援緊急給付金を増やさないと、私立大学看護学部生の退学が増え、数年先の看護師不足になるかもしれない。