肥満とリモート飲み会・肺梗塞
2020年5月25日、大阪・兵庫・京都の緊急事態宣言が22日に解除され、初めて大阪にある職場に出勤した。
私が「道路が渋滞し始め、10分長くかかった。会社に来ると社員は1~2割しかいない。今日、電車はどのくらい混んでいたか」聞くと、看護師さんは「先週より通勤客が少し増えた。満員電車の頃の6割程度ではないか。テレワークや時差出勤をしている人が多いので、社内には社員が少ない。密にならないよう、会議室に行って仕事をしている社員もいる。6月になってもテレワークをつづけるみたいですよ」と言う。
私が「昨日、一昨日は、1日中自宅自粛していた。体重が、コロナ前より1.9kg増えた」と話すと、看護師さんは「私も2kg体重が増えました。リモートワークになって、リモート飲み会が始まり、アルコール量や体重が増えている社員が多い。リモート飲み会は、誰かが"眠くなったのでもう止めよう"と言うまで延々とつづく。手元にあるアルコールや食べ物を全部食べる。2時間など時間制限した方がいい」と言う。
私は「肥満になると、コロナが重症化しやすい。ドイツの前向き研究で、COVID-19で死亡した12人は明らかに肥満者(BMI 28.7)が多かった。病理解剖で12人中7人に血栓があり、4人(52~76歳)の死因が肺梗塞となっていた(Ann Int Med 2020,5,6)。
阪大病院時代、肥満外来に165cm、182kg(BMI 66.9)の20歳代女性肥満患者が、酸素ボンベを引きながら入って来た。入院して治療をしたが、ベッドで横になることができず、座禅を組むように座ったまま夜間も眠っていた。10日後突然死し、病理解剖すると死因は"肺梗塞"だった」と話をした。
私が「独身女性13人をコロナ担当にした病院がある。家族内感染を防ぐため選んだようだ」と話すと、看護師さんは「〇〇県の病院でしょ。SARSの時、私がいた市立病院では、育児の終わった40~50歳代の看護師の中で、手挙げ方式だった。独身でも妊娠することがあり、アビガンが投与できない」と言う。
私は「市立伊丹病院も同じで、SARSの時53歳の私が対応するよう指示された。新型コロナも同じで今年2月末、国公立病院に勤務する後輩医師は"発熱外来ができ、年長者の私から順番に、管理職の間で回すよう指示された。新型コロナは高齢者ほど死亡リスクが高いのにおかしい"と言っていた。
COVID-19は、成人で脳梗塞、子供で川崎病を起こすことからわかるように、全身の血管の病気でもあり、腎臓・肝臓・肺などに後遺症を起こすかもしれない」と話した。
午後8時、産業医をしている友人に電話した。私が「4月は週1日、5月は週2日出勤となっている。コロナ感染を防ぐため、2m離れて患者さんを診察している。部屋が密になるため、会議を4月5月と開いていない。どうしているか」と聞くと、友人は「5月は週3日出勤となっている。オンライン診療をしているので、患者さんと接することはなく、感染の危険はない。会議は密にならないよう、5月からテレビ会議で行なっている」と答えてくれた。
新型コロナ緊急事態宣言後、テレワーク・テレビ会議・オンライン診療と、この1~2ヵ月で社会は、急激に変化している。リモート飲み会は、アルコール量・摂食量が増えるので、太らないよう注意が必要だ。