肥満とリモート飲み会・肺梗塞

2020年5月26日

    2020525日、大阪・兵庫・京都の緊急事態宣言が22日に解除され、初めて大阪にある職場に出勤した。

私が「道路が渋滞し始め、10分長くかかった。会社に来ると社員は12割しかいない。今日、電車はどのくらい混んでいたか」聞くと、看護師さんは「先週より通勤客が少し増えた。満員電車の頃の6割程度ではないか。テレワークや時差出勤をしている人が多いので、社内には社員が少ない。密にならないよう、会議室に行って仕事をしている社員もいる。6月になってもテレワークをつづけるみたいですよ」と言う。

私が「昨日、一昨日は、1日中自宅自粛していた。体重が、コロナ前より1.9kg増えた」と話すと、看護師さんは「私も2kg体重が増えました。リモートワークになって、リモート飲み会が始まり、アルコール量や体重が増えている社員が多い。リモート飲み会は、誰かが"眠くなったのでもう止めよう"と言うまで延々とつづく。手元にあるアルコールや食べ物を全部食べる。2時間など時間制限した方がいい」と言う。

私は「肥満になると、コロナが重症化しやすい。ドイツの前向き研究で、COVID-19で死亡した12人は明らかに肥満者(BMI 28.7)が多かった。病理解剖で12人中7人に血栓があり、4人(5276歳)の死因が肺梗塞となっていた(Ann Int Med 2020,5,6)。

阪大病院時代、肥満外来に165cm182kgBMI 66.9)の20歳代女性肥満患者が、酸素ボンベを引きながら入って来た。入院して治療をしたが、ベッドで横になることができず、座禅を組むように座ったまま夜間も眠っていた。10日後突然死し、病理解剖すると死因は"肺梗塞"だった」と話をした。

私が「独身女性13人をコロナ担当にした病院がある。家族内感染を防ぐため選んだようだ」と話すと、看護師さんは「〇〇県の病院でしょ。SARSの時、私がいた市立病院では、育児の終わった4050歳代の看護師の中で、手挙げ方式だった。独身でも妊娠することがあり、アビガンが投与できない」と言う。

私は「市立伊丹病院も同じで、SARSの時53歳の私が対応するよう指示された。新型コロナも同じで今年2月末、国公立病院に勤務する後輩医師は"発熱外来ができ、年長者の私から順番に、管理職の間で回すよう指示された。新型コロナは高齢者ほど死亡リスクが高いのにおかしい"と言っていた。

COVID-19は、成人で脳梗塞、子供で川崎病を起こすことからわかるように、全身の血管の病気でもあり、腎臓・肝臓・肺などに後遺症を起こすかもしれない」と話した。

午後8時、産業医をしている友人に電話した。私が「4月は週1日、5月は週2日出勤となっている。コロナ感染を防ぐため、2m離れて患者さんを診察している。部屋が密になるため、会議を45月と開いていない。どうしているか」と聞くと、友人は「5月は週3日出勤となっている。オンライン診療をしているので、患者さんと接することはなく、感染の危険はない。会議は密にならないよう、5月からテレビ会議で行なっている」と答えてくれた。

新型コロナ緊急事態宣言後、テレワーク・テレビ会議・オンライン診療と、この12ヵ月で社会は、急激に変化している。リモート飲み会は、アルコール量・摂食量が増えるので、太らないよう注意が必要だ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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