安倍首相辞任と「コロナ2類相当見直し」
2020年8月28日、安倍晋三首相は、突然の辞任表明をされた。
午後5時、安倍首相は官邸で開いた記者会見で「持病の潰瘍性大腸炎が悪化し、国民の負担に自信を持って答えられる状態でなくなった以上、首相の地位にあり続けるべきではないと判断する」と述べられた。2012年から歴代最長を誇った政権は、約7年8カ月で幕を閉じる。
安倍総理はコロナ対策について、「冬に向け、高齢者や基礎疾患のある重症化リスクの高い人に、医療支援を重点化していく。1日20万件に検査能力を拡充し、来年前半までに国民全員のワクチンの確保を目指す。感染症法上の2類相当を見直し、感染者の80%を占める軽症者・無症状者の自宅・宿泊者施設での療養を徹底していく」と述べられた。
この日の午前、職場で看護師さんに「新型コロナを2類相当から下げる検討が始まった。大阪の医師の8~9割は、"2類相当では、インフルエンザが始まると医療が逼迫する"と懸念している(メタボ教室第806段「大阪のコロナ」)。
モーニングショーを見ていたら、東京の感染症専門家が"5類になると感染が拡大する。2類相当から下げるべきではない"と解説していた。東京は医療もホテルも潤沢なのでいいが、医療が脆弱でホテルもない地方では医療崩壊する。
ワイドショーを見ていたら、コメンテーターが"2類相当の見直しは、経済界の圧力によるものだ。命を守るには、2類相当を下げてはいけない"とコメントしていた。これは、全く見当違いで、2類相当の見直しは、大阪を中心とした医師が"医療崩壊を防ぎ、命を守るため"に求めたものだ。
梅村聡参議院議員が、8月20日の参議院厚生労働委員会で『新型コロナが2類相当のままだと、インフルエンザが流行する秋冬になると医療崩壊が起こる。2類相当以下にするよう』求めた。厚労省はそれまで、見直しを全く考えていなかった。
厚生労働委員会後、梅村聡議員、加藤勝信厚生労働大臣、正林督章(しょうばやし・とくあき)厚労省健康局長の3人で、2類相当見直しの検討をすることを決めた。それ以降、メディアで議論されるようになった」と話をした。
正林督章健康局長は、HPVワクチン問題、受動喫煙問題で苦労され、ダイヤモンドプリンセス号では陣頭指揮をとられている。
看護師さんは「東京の感染症専門家の中には、現場のことを知らない人がいる。今でも友人の保健師は"これ以上持たない"と言っているのに、このまま秋冬になると保健所は崩壊する。元気なコロナ感染者が入院して、病床を占有するのはおかしい。重症者が入院できなくなる。無症状や軽症の人は、自宅療養にするとよい。
梅村聡先生が研修医時代、一緒に勤務していた。梅村先生は真面目でいい先生だった。梅村先生は、偉くなられたんですね」と言う。
この日テレビで、田﨑史郎氏は「新型コロナの2類相当見直しは、6月、7月から始まったものではなく、8月20日から急に始まったものだ」と正確にコメントされていた。
新型コロナウイルスは、未知の部分が多い。恐怖心を煽ってもいけないし、軽く見てもいけない。7か月間で得られた知見をもとに、インフルエンザが流行する秋冬の前に早急に議論し、2類相当を見直す必要がある。