コロナ・IL-6・PAI-1と修学旅行
2020年8月25日、産経新聞朝刊に「コロナ重症化 仕組み解明」「阪大チーム リウマチ薬効果期待」の2段見出しの記事が載った。
新聞には「大阪大の岸本忠三特任教授らのチームが24日、"新型コロナウイルス感染症の重症化を引き起こす仕組みの一部を解明した"と発表した。新型コロナに感染すると、血管の細胞からインターロイキン6(IL-6)などが分泌される。IL-6が過剰に分泌されると、免疫の暴走を引き起こし、血管や臓器を傷つける。
血管の細胞をIL-6で刺激すると、細胞から血管凝固を促すPAI-1が多く放出されることを発見した。PAI-1が増えて肺などの臓器で血栓が発生すれば重症化につながる。新型コロナ患者のPAI-1血中濃度は、細菌性敗血症や重度火傷患者に匹敵する高さになることも判明した。IL-6の働きを抑える関節リウマチ治療薬"アクテムラ"を使うとPAI-1の発生が抑えられた」と載っていた。
阪大2内では、内臓脂肪が多いとPAI-1が増加することを報告した
表示(下村、徳永他:Nature Med 1996)。論文では、VMH(視床下部腹内側核)破壊肥満ラット
表示で、肥満になり内臓脂肪が増えるとともにPAI-1が増えることを示した。肥満で、新型コロナ重症者が多くなるのは、PAI-1も関与しているのかもしれない。
岸本忠三先生は阪大医学部の10年先輩で、インターロイキン2(IL-2)やIL-6を発見された免疫学では世界的な権威だ。別世界の人だと思っていたが、似た所があると感じるようになった。
1つ目は、親の愛情をたっぷり受けて育ったことだ。岸本先生が学生の頃の同級生の方が「岸本君は一人っ子で、両親にとても大切に育てられた。学校の先生だった両親は、修学旅行にも行かれた」と話された。私は、それを聞いてほっとした。私の父も子煩悩で、歯科医になる前は学校の先生をし、庄原小学校の修学旅行にいっしょに行った。
修学旅行では、尾道の旅館「松翠園」(写真
表示右端は6年A組の担任だった佐々木先生、2人目の帽子が父)に宿泊、千光寺
表示に行き、向島の造船所を見学した。岩国の錦帯橋(写真
表示最後列右から4人目の帽子が父)に行き、宮島に宿泊。広島市では中国新聞社(写真
表示前から3列目右から2人目の帽子が父)と、原爆資料館
表示を見学した。後日、講堂で6年生180人が集まり、父が8ミリで撮影した修学旅行の映写会があり、気恥しい思いをした。
2つ目は、岸本忠三先生は異業種交流が好きらしいことだ。10年位前、大阪市天王寺区にある「ホテルアウィーナ大阪」であった異業種の会で、右隣りに座られた方に「最近、よく会いますね」と言われ、私が「阪大病院で内科をしていました」と答えると、「以前は、よく岸本忠三先生とお会いしました。岸本先生は『今度、日本医学会総会(2007年)の会頭をする。これから忙しくなるので、しばらく来られないかもしれない』と言われ、それ以来見かけなくなった」と話された。
阪大の岸本忠三教授は、新型コロナが重症化するメカニズムの一部を解明された。インターロイキン6(IL-6)がPAI-1を増加させ血栓を作りやすくする。内臓脂肪が増加するとPAI-1が増えるので、肥満者で新型コロナ感染症が重症化しやすいのは、内臓脂肪も関与している可能性がある。