大阪のコロナ重症者増加と指定感染症

2020年8月20日

    2020816日夕方、テレビを見ると「大阪で新型コロナの重症者が急増している」と放送していた。

午後830分、コロナ病院の友人に電話をした。私が「大阪でコロナ重症者が急増しているのは本当か。コロナ感染者数は東京より少ないのに、大阪の重傷者は72人と東京の重症者の25人に比べ3倍多い。重症者病床使用率も、大阪は38%と東京の6%に比べ6倍高く、沖縄の44%に近くなっている。どうして大阪で重症者が増えたのか」と聞くと、

友人は「入院して来るコロナ患者は全員重症で、すぐに人工呼吸器を装着している。人工呼吸器をつけるのが、早ければ早いほど救命率が高くなる。大阪は、感染からPCR検査でコロナと診断されるまで時間がかかっている。コロナ感染者と15分以上話をしていても、マスクをしていると濃厚接触者とせず、PCR検査をしない。症状があっても、"23日様子を見て下さい"と言って、PCR検査をしない。大阪の保健所は超多忙で機能不全になっており、クラスターを追えなくなっている」と言う。

私が「PCR検査を増やすにはどうしたらいいか」聞くと、

友人は「大阪の保健所の人数を増やすか、保健所を通さなくても医師の判断でPCR検査をできるようにしないといけない。大阪のPCR検査能力は12500件で、東京に比べ一桁少ない。東京は、病院にも余裕がある。東京では、保健所以外で自費でもPCR検査を受けられるが、大阪は一部の病院が発熱外来でPCR検査を行っているだけで、保健所を通すしかない。保健所を通さないでPCR検査ができないと、必要な人にPCR検査ができない。2波はしのげても、インフルエンザと重なる秋冬に第3波が来ると、病床数が足りなくなって、医療崩壊する。それまでに、指定感染症2類から、自宅でも静養できる5類(インフルエンザなど)に変えておかないといけない」と答えてくれた。

私は「梅村聡参議院議員らが『新型コロナを指定感染症2類から5類に変更するよう』政府に働きかけている。指定感染症2類だと、一例残らず国に報告しなければならない。開業医で唾液のPCR検査をし、もし一人でも新型コロナ感染症患者が出ると、保健所が乗り込んで来て大変なことになる。場合によっては、診療停止になるかもしれない。

感染症2類を5類にしないと、開業医はリスクを負ってまで、PCR検査を行わないだろう。保健所だけでPCR検査を行っていては、検査数に限界があり、必要な人に検査ができない。困るのは国民だ。厚労省も、医療崩壊すれば、2類から5類に下げざるを得なくなるだろう」と話をした。

大阪の新型コロナの重症者が急激に増えている。大阪のコロナ感染者数は、保健所の処理能力を超えている。PCR検査不足により、毎日発表されるコロナ感染者数より多くの感染者がいると推定される。大阪のコロナ重症者増加の原因として、保健所の機能不全によるPCR検査不足、高齢者の感染者増加などが考えられる。

開業医などでもPCR検査ができるようにするには、新型コロナを指定感染症2類から5類にする必要がある。濃厚接触者、症状のある人のPCR検査を迅速にできれば、新型コロナの早期発見・早期治療につながり、コロナ患者の重症化を防ぐことになる。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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