「池上彰の関西」と内臓脂肪・コロナ治療薬
2021年1月12日、政府は新型コロナウイルスの感染が拡大している大阪、京都、兵庫の関西3府県に「緊急事態宣言」を発令する方針を固めた。
午後7時、Kテレビの「池上彰の関西人の知らないKANSAI」で、関西発のものを紹介していた。「大阪市西区京町堀にあるハクキンカイロ(株)の携帯カイロが、独英仏など欧州で広く使われている。日本では使い捨てカイロが使われているが、ごみを出すので地球環境に良くない。1923年に開発し特許を申請したが、大学教授が既に特許を取得していた。考案者の熱意に、大学教授が特許を譲ってくれた」と放送していた。
特許といえば、阪大病院時代の1980年代後半、内臓脂肪や理想体重計算式の特許をとるかどうか考えたことがある。阪大2内肥満研究グループの後輩に「徳永先生、内臓脂肪や内臓脂肪型肥満、理想体重計算式[身長(m)×身長(m)×22]の特許を取ったらどうか」と提案された。後輩は灘高校卒で、官僚に親しい同級生が多く、特許のことをよく知っていた。
私は「特許を取ると、使う人が少なくなるかもしれないので止めておこう」と答えた。もし、阪大で特許を取っていたら、内臓脂肪は腹腔内脂肪、内臓脂肪型肥満は腹部肥満と呼ばれ、標準体重計算式はブローカの桂変法[(身長cm-100)×0.9]が使われ続けているかもしれない。
番組では、大阪市中央区道修町にある小林製薬について「アイデアが豊富な会社で、世界中に商品を売っている。中国のウェブサイトで紹介された"日本で買わなければならない12の神薬"に小林製薬の薬が5つ(アンメルツヨコヨコ、サカムケア、熱さまシート、ニノキュア、命の母A)入っている」と紹介していた。
小林製薬の方が2007年、雑誌の取材で私の所に来られた。「メタボリックシンドローム」が7ページ
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表示に渡って掲載された。日本肥満学会の肥満症診断基準2000では、体脂肪でなく、内臓脂肪蓄積を入れることが決まった。小林製薬は数少ない体脂肪派だったが、2005年のメタボリックシンドローム診断基準でも内臓脂肪になったので、「内臓脂肪を燃やす〇〇」のコマーシャルになったのかもしれない。
番組では、関西発の疫病対策にも触れられ「神戸発のネズミ懸賞制度がペストの蔓延を防ぎ世界を救った。ペストは中世ヨーロッパで流行した際、人口の3分の1が亡くなった。1899年神戸にペスト患者が発生。神戸市はネズミを捕まえて警察に届けると、一匹1000~1500円もらえた。1年間に77万匹買い上げ、ペストの流行を抑え込むことに成功した。1900年、米国サンフランシスコでペストが流行した時"神戸のネズミ駆除法"を手本にしてネズミを退治した」と放送していた。
夕方から夜のニュースで、「イギリスが新型コロナ治療薬として、大阪大学の岸本忠三先生(メタボ教室第808段「コロナ・IL6」)と中外製薬が共同開発したリウマチ治療薬"アクテムラ(トシリズマブ)"を認可した。アクテムラは新型コロナウイルス重症患者の死亡率を低下させ、集中治療室(ICU)の治療期間を短縮させた」と報道していた。
関西はアイデア豊富な所で、関西人の知らない世界的なものを多く生み出している。