映画「痛くない死に方」と看取りのとき
2021年4月1日、職場で新入社員の入社式があった。
午後0時、大阪の街は人通りが少ない。行きつけの料理店3軒とも、ランチ休業になっていた。大阪の街は、新型コロナ感染者数が東京を抜いた翌日3月31日(感染者数599人)から一変した。職場近くの駐車場は満車で、先週までガラガラだった遠くの駐車場も満車になっていた。
茂松茂人大阪府医師会長がテレビで大阪の新型コロナ感染者が急激に増えたことに対し「油断していた」と話されていたが、私も同様に油断していた(メタボ教室第835段「東京・大阪の医療体制」)。感染力の強いイギリス株が、大阪・兵庫でこれだけ増えるとは考えもしなかった。新型コロナは、予測不能なウイルスだ。
3月23日(前日の感染者数79人)、大阪市浪速区にある"なんばパークスシネマ"に「映画「痛くない死に方
表示」を観に行った。午前10時、館内は高齢者夫婦が多い。在宅医と患者と家族の物語で、監督・脚本を高橋伴明がしている。高橋伴明監督が以前、大阪梅田の映画館へ舞台挨拶に来られた時、出演者にサインしてもらったことがある。
映画鑑賞後の午後0時10分、なんばパークスにある「ガンボ&オイスターバー」へ行くと、テーブル席は満席で行列になっていた。カウンター席で大分国見産、兵庫岩美産、広島安芸津産の生牡蠣
表示2個ずつとガンボを食べた。
映画では、若い在宅医(柄本佑)にベテラン在宅医(奥田瑛二)が「病気だけでなく、人を見ろ。患者の育った環境、家族など背景を知れ」と言う場面がある。これは、阪大2内で私が教わった言葉だ。阪大2内の10年後輩である原作者の長尾和宏医師も、同じことを教わったのだろう。
私は、阪大2内脂質研の最初の2年間、肥満者のリポ蛋白分析のため、毎日PAG電気泳動の実験をしていた。ゲルが固まるまでの1時間、病棟に入院している肥満患者の所に行き、家族構成と肥満者の有無、食事内容、おやつの種類、好きな果物とその摂取量、ストレス解消法、趣味、旅行など、あらゆることを聞いて、肥満者の人を知ることに努めた。
映画では、若い在宅医・柄本佑が女性在宅医に「どうして救急医から在宅医になったのか」聞く場面がある。女性在宅医は「救急医をやっていたが、病院では少しでも長く延命することが要求される。管をつなぎ、最後は看護師が患者に馬乗りになって肋骨が折れるくらい強く心臓マッサージをする。がん末期患者は、家族に看取られて亡くなるのがいいと考え、病院勤務を辞め在宅医になった」と答える。
私も市立病院時代、治る見込みのない末期がんは、家族に見守られ安らかに眠ってもらうのがいいと考えていた。管をたくさん付け、看護師さんが馬乗りになって肋骨が折れるくらいマッサージする姿を見るのが嫌だった。
私の父の看取りについては、メタボ教室第22段「終末期医療」に記した。私のブログの文章が、高橋繁行著「看取りのときーかけがえのない人の死に向き合う(アスキー新書)
表示」の"人工呼吸器問題"34
表示~37
表示ページに、引用してもらっている。
私は家族に「病気になって治る見込みがなくなった時は、気管挿管しないで静かに看取ってくれ」と伝えてある。