虎の文化誌と信貴山「朝護孫子寺」の紅葉
2021年11月18日、大阪市北区にある「クラブ関西」で異業種の会があった。
午後6時、上方文化評論家の福井栄一氏による講演「虎の文化誌」があった。
福井氏は「虎は8亜種あり、日本には生息していない。古来、日本で多くの虎が描かれているが、海外に行って虎を見てきた人が描いたものだ。
阪神タイガースは1936年、シンボルマークに阪神電車社員の早川源一氏が作成した虎を、黄色をシンボルカラーにしている。虎は上から見るものが多いが、タイガースの虎は下から見たもので珍しい。虎を黄色で表現しているのは日本だけで、海外ではオレンジ色にしている。近鉄バッファローズの角のある猛牛シンボルマークは、岡本太郎(大阪万博の太陽の塔を作成)が作ったものだ。
大阪城には、8匹の虎がいる。大阪城の外壁上部の4面に2匹ずつ、8匹の伏虎(ふせとら)がいる。伏虎は獲物を狙うもので、斜め上を向いて今にも飛びかかろうとしている。豊臣秀吉が天下統一を願って伏虎を描かせた。
信貴山(しぎさん)にある朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)には、多くの虎がいる。聖徳太子が物部氏を討伐するため、この山に来て祈願した日が虎年、虎の日、虎の刻だった。聖徳太子は、信ずべき山貴ぶべき山として"信貴山"と名付け、寺の至る所に虎がいる」と話された。
11月30日、奈良県生駒郡平群町信貴山にある「朝護孫子寺」へ紅葉を観に行った。午前10時、伊丹の自宅を出発、中国道、近畿自動車道、第2阪奈道を通って、午前11時20分、朝護孫子寺の第2駐車場に着いた。
境内に入るとすぐ、黄色に黒い縞の入った「世界一福虎
表示」がいた。紅葉は散っているものも多いが、鮮やかな紅葉も残っていた。「玉蔵院 」など至る所にたくさんの虎がおり、階段を登り「本堂(毘沙門堂)」に行った。本堂の隣の「霊宝館」には、国宝「信貴山縁起絵巻」(複製)があった。第1巻の山崎長者の話には、荏胡麻を搾る機械や搾った油が描かれていた。平安時代末期でも、荏胡麻油を使っていたのだ。荏胡麻と胡麻とは名前は似ているが全く違う油で、鎌倉時代の高僧は荏胡麻油を使っていた。その後、胡麻油が使われるようになった。
急な階段を登り「日本一大地蔵尊
表示」に行くと、大和平野の街並み が見えた。千手院の隣には、長い虎のトンネル 表示があった。
信貴山に来るのは、1968年大学1年生の時以来、53年ぶりだ。広島県から大阪に出て間もない頃で、地元の大手前高校出身のクラスメートに連れて行ってもらった。豊中市石橋にある阪大教養部キャンパスから、阪急電車で梅田に行き、JRで鶴橋へ、近鉄電車で信貴山口に行き、ケーブルカーで信貴山に行った。
奈良県平群町にある信貴山へ、紅葉を観に行った。虎で有名な「朝護孫子寺」には鮮やかな色彩の建築物が多く、深紅の紅葉も残っており、楽しみながらウォーキングすることができた。